「パワハラで適応障害になった」と訴える新人の女性行員 課長から言われた言葉は?…部下とのコミュニケーションの難しさ

AI要約

夏目誠さんがストレスへの気づきと対処法を紹介。

若者の適応障害についてのケーススタディ。

北川明子さんの適応障害に対する相談内容。

 仕事をしていれば、ストレスはつきもの。精神科産業医として45年以上のキャリアを持つ夏目誠さんが、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。

 若者向け就職支援サービス・ハタラクティブの「若者しごと白書2024」によると、正社員1000人に対し、現在転職活動をしているかを尋ねたら、「している」の回答が2割をこえていました。就職活動で情報収集をしていても、実際に入ってみると、思っていた職場と違ったということもあるでしょう。銀行に入行して、「パワハラによる適応障害」を訴える女性行員が、統括的な産業医の紹介で精神科産業医の私の元を訪れました。よく聞いてみると、彼女の一番の不満は上司ではなかったようです。

 私の相談室を訪れた北川明子さん(仮名、23)は感情が高ぶっている様子です。

北川さん: 統括産業医に強く訴えたのですが、私が「適応障害」になったのは課長のせいだと思うんです。

精神科産業医(以下、産業医): 具体的に話してください。

北川さん: 課長が、ちょっとした失敗を見つけて、「ささいなミスをしてはいけない」と指摘したので、「新人ですから」と言えば、「素直でないね。言い訳はしない方がいい」と叱責されました。

産業医 : 素直でない?

北川さん: これって人格攻撃でしょ。パワハラですよ。

産業医 : 注意とも言えますけどね。

北川さん: そう言われたのが気になって、眠れないんです。イライラするし。これって、適応障害だと思うんです。

産業医 : 医療機関を受診したのですか。

北川さん: ネットで調べてみると、当てはまることがたくさんあります。親にも叱られたことがないので、本当に傷つきました。トラウマ(心にできた傷)ですよ。先生。

産業医 : う~ん。自己診断ですか。どうしましょうか。

北川さん: 産業医や精神科医から、課長に注意をお願いします。

産業医 : 事情を調べてみます。4日後にまた面談をしましょう。