「ミルフィーユ」構造で強度向上 新マグネシウム合金開発 熊本大

AI要約

熊本大の研究チームは新たな難燃マグネシウム合金を開発し、通常のマグネシウム合金の1.7倍以上の強度を誇ることを発表した。

研究チームは、マグネシウムの軟らかい層に硬質層がまばらに入った構造を設計し、「ミルフィーユ型マグネシウム合金」と名付けた。

新しい合金は、耐熱性を保ちつつ、強度が向上し、元素の添加量が少なく、コストや比重の点でも有利である。

 熊本大の研究チームは9日、一般的なマグネシウム合金の1.7倍以上の強度を持つ新たな難燃マグネシウム合金を開発したと発表した。軟らかいマグネシウム層の中に、亜鉛などの金属が入った硬質層がまばらに入った構造で、クリームを硬いパイ生地で何層も挟んだ洋菓子にちなみ、「ミルフィーユ型マグネシウム合金」と名付けた。

 熊本大先進マグネシウム国際研究センター長の河村能人教授らは2012年、軽量で強度もあるが発火温度が低かったマグネシウム合金を改良した耐熱マグネシウム合金を開発。この合金はマグネシウムの層と添加された亜鉛などの硬質層が1ナノメートル以下の短い間隔で均一に積み重なる構造だった。

 河村教授らは、この合金に高い圧力をかけて加工すると、内部の結晶構造が折れ曲がり強度が上がることを発見。硬質層の間隔が広いと強度が上がる傾向も分かり、添加元素や熱などの条件を変えながら、研究を続けた。

 その結果、硬質層の平均間隔が12ナノメートルに広がった新たな合金ができた。より弱い圧力で強度が向上した。難燃性は保ったまま、従来の耐熱合金より亜鉛などの添加量も少なく、コストや比重の面でも有利だという。