天気が悪い日に歯が痛む 「気圧性歯痛」かも 梅雨が明けた後でも旅先で症状が出ることも…理由と対策は?

AI要約

気圧が下がると歯に痛みが出る理由は、歯髄腔内の空気が膨張または圧縮され、神経が刺激されるためだ。

痛みが出る場合には、むし歯が歯髄に進行した場合や、象牙細管から空気が侵入する場合、また、治療後に炎症が起きる可能性がある。

気圧性歯痛は、気圧の変化によって生じる痛みであり、むし歯や治療後の合併症が原因で起こることが多い。

 梅雨時から夏場にかけて、天気の変化が激しくなる日が多くなります。気圧が下がると、歯に痛みが生じることがあり、「気圧性歯痛」と言われています。どのような状態なのか、「都立家政南口歯科」(東京都中野区)院長の来山(きたやま)修三さんに聞きました。(聞き手・利根川昌紀)

――気圧が下がると歯に痛みが出るのはなぜですか。

 歯は、表面が「エナメル質」で覆われ、その下に「象牙質」という部分があります。さらにその下には、「歯髄腔(くう)」と呼ばれる空洞があり、中には、無数の神経や血管でできた「歯髄」という組織が詰まっています。

 歯髄腔の中は通常、外と同じ気圧に保たれています。しかし、(1)低気圧がやってきた(2)飛行機に乗った(3)登山やダイビングをした――といった状況で気圧の変化が起こると、歯髄腔の中の空気が膨張したり圧縮されたりします。何らかの理由で歯髄に炎症が起きている場合、神経の末端部分などが刺激されて痛みが生じると考えられています。

――どのような場合に痛みが出るのでしょうか。

 代表的なのは、むし歯が歯髄の中まで進行したケースです。炎症を起こした神経が空気に押されると、痛みが生じます。

 また、むし歯が象牙質にとどまっていたとしても、痛みが生じることがあります。歯髄に向かって無数に伸びた細い管「象牙細管」から歯髄の中に空気が侵入しやすい状態になっているためです。これにより、歯髄の中の圧力は高まります。

 過去にむし歯を治療した歯も痛みが出る可能性があります。かぶせものがぴったりはまっていなかったり、かぶせものと歯の間にむし歯ができたりしている場合、かぶせものと歯の隙間から、歯髄腔に空気が侵入しやすくなるためです。

 そのほか、むし歯の治療で神経を抜いた後、細菌が歯の根っこの中に入り込み、炎症が起きてうみがたまってしまうことがあります。気圧の変化により、うみの中の空気が膨張したり圧縮されたりすると、痛みを感じることがあります。