前から?後ろから?排便後の「お尻の拭き方」で差が出る! 膀胱炎の“新常識” 医師が調べた結果とは?

AI要約

尿路感染症とトイレ後のお尻の拭き方の関係について研究が行われている。女性の尿道の短さや尿道と肛門の近さが感染リスクを高める要因として挙げられている。

赤石哲也さんが日常の出来事をきっかけにこの研究を行い、トイレ後のお尻の拭き方が感染リスクに影響する可能性があると考えた。

赤石さんは2020年から2023年にかけて東北大学病院と気仙沼市立本吉病院を対象に調査を行い、トイレ後のお尻の拭き方と尿路感染症のリスクの関連性を検証した。

前から?後ろから?排便後の「お尻の拭き方」で差が出る! 膀胱炎の“新常識” 医師が調べた結果とは?

なんらかの病原体が尿道から入り込み、膀胱や腎臓で炎症を起こして、痛みや不快感を引き起こす「尿路感染症」。多くの女性が一度は経験する可能性のある病気だ。

その尿路感染症にどうやら(というか、やっぱりというべきか)トイレ後のお尻の拭き方が影響するらしい――。この件についてまじめに調査研究を行ったのが、宮城中央病院内科部長で総合内科専門医の赤石哲也さんだ。

 尿路感染症は圧倒的に女性に多い。

 その要因の1つとして、女性の尿道が男性に比べて短く、また肛門に近いため、便に含まれる大腸菌などの病原体が、尿道を経て膀胱に入り込みやすいことが考えられる。

 女性の尿道は陰部とも近接しているため、性交渉や月経期間中の衛生管理が不十分な場合にも、病原体が尿道に入り込みやすい。

■子どものおむつ替えがきっかけ

 「日頃のお尻の拭き方が尿路感染症のリスクになるかもしれない」と赤石さんが気づいたのは、日常のささいな出来事がきっかけだったという。

 子どものおむつ替えの際に、お尻の下(肛門)から上(尿道)に向けて拭いていたところ、「お尻は上から下に向けて拭いたほうがいいよ」と妻に指摘された。その理由は「お尻の菌が尿道に入りやすいから」だった。

 「この拭き方は、医療現場では寝た状態の患者さんの体を拭く際に実践されている方法なので、知っている看護師さんは多いようでしたが、僕は知りませんでした」

 この指摘は理にかなっていると思った赤石さん。そのエビデンス(科学的根拠)を確認しようと調べてみると、そのような研究はまだ存在していないことがわかった。

 「そこで、トイレ後の拭き方と尿路感染症リスクの関係を科学的に明らかにするために調査してみようと思いました」(赤石さん)

 赤石さんは早速、トイレ(大便)後のお尻の拭き方と尿路感染症の発症リスクの関連を検討する研究として、2020年4月から2023年3月まで、東北大学病院と気仙沼市立本吉病院(宮城県)を受診した男女に対し、アンケート調査による横断観察研究を実施した。

 参加者には、年齢や性別、「トイレ後にどのように拭くか」「過去に尿路感染症で通院歴が何度あるか」のほか、感染リスクを高める「糖尿病の有無」などの質問に回答してもらった。