月の裏側に着陸した中国の月探査機「嫦娥6号」をアメリカの月周回衛星「LRO」が撮影

AI要約

アポロ・クレーターを撮影したLROの画像には、嫦娥6号が明るく写っています。嫦娥6号は月の裏側から初めてのサンプルリターンを目指す中国の探査機です。

嫦娥6号はアポロ・クレーターの南端に着陸し、溶岩の流れた場所に位置しています。着陸機はクレーターの縁に着陸したことが確認されています。

嫦娥6号は2024年6月25日にサンプルを地球へ持ち帰る予定で、中国国家航天局は内モンゴル自治区に着陸する予定だとしています。

月の裏側に着陸した中国の月探査機「嫦娥6号」をアメリカの月周回衛星「LRO」が撮影

こちらは月の裏側にあるアポロ・クレーター(Apollo、アポロ盆地とも。直径約524km)南部を月周回軌道から撮影した画像です。アメリカ航空宇宙局(NASA)の月周回衛星「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO、ルナー・リコネサンス・オービター)」の光学観測装置「LROC」を使って2024年6月7日に撮影されました。画像の幅は650mに相当します。

NASAによると、画像中央には中国の月探査機「嫦娥6号(Chang’e 6)」が明るい点として写っています。嫦娥6号は中国国家航天局(CNSA)による月探査ミッションの無人探査機で、地球からは直接見ることができない月の裏側に着陸して周辺の観測を行うと同時に、スコップとドリルを使用して約2kgのサンプルを採取し地球へ持ち帰るサンプルリターンを目的としています。成功すれば月の裏側からのサンプルリターンは世界初となります。

嫦娥6号は日本時間2024年5月3日に打ち上げられて日本時間同年5月8日に月周回軌道へ到達し、日本時間同年6月2日には上昇機を載せた着陸機がアポロ・クレーターへ着陸することに成功。2日後の日本時間同年6月4日にはサンプルを収めた上昇機が月周回軌道へ戻り、さらに2日後の日本時間同年6月6日には待機していた周回機とドッキングして、上昇機から周回機に搭載されている帰還機へとサンプルを収めた保管容器を移し替えることに成功したと発表されています。

LROが撮影したのは上昇機が飛び立った後の着陸機です。NASAによると、嫦娥6号の着陸地点はアポロ・クレーターの南端にあたる月の南緯約42度・東経約206度で、着陸地点の北西にあるチャーフィーS・クレーター(Chaffee S、直径19.88km)の南から噴出した玄武岩質の溶岩が約31億年前に流れた場所に位置しています。

また、2022年3月3日に撮影された同じ場所の画像と2024年6月7日に撮影された冒頭の画像を比較した以下のアニメーション画像も公開されていて、着陸機は侵食された直径約50mのクレーターの縁に着陸したことがわかります。NASAによれば着陸機周辺が明るく見えるのはエンジン噴射によって月面が擾乱された結果で、他の月着陸機の着陸地点周辺でも同様に月面が部分的に明るくなっている様子が確認されています。

なお、宇宙飛行ミッションに関するNASAのオンラインカタログ(NSSDCA Master Catalog)を参照すると、嫦娥6号は2024年6月21日~22日頃に月周回軌道を離れ、同年6月25日頃にサンプルが地球へ持ち帰られる予定とされています。CNSAによると、サンプルを搭載した帰還機は大気圏へ再突入した後、内モンゴル自治区の四子王旗着陸場へ着陸する予定だということです。

Source

NASA – NASA’s LRO Spots China’s Chang’e 6 Spacecraft on Lunar Far Side

NASA – Chang’e 6 (NSSDCA Master Catalog)