じつは、ジェット気流は「地球を周回」していた…天気図がわかれば、見えてくる「日本で発生・移動する高気圧や低気圧」のリアルな動き

AI要約

高層天気図は、特定の高度や気圧面における気象要素の分布を図に表したもので、同じ気圧ごとに複数の図が作られています。

300hPaの高層天気図を例に取り、等高度線や風速などの要素の読み取り方を説明しています。

図の解説や風の方向、強さ、偏西風ジェット気流などが高層天気図からわかる情報の一部を紹介しています。

じつは、ジェット気流は「地球を周回」していた…天気図がわかれば、見えてくる「日本で発生・移動する高気圧や低気圧」のリアルな動き

 高層天気図は、特定の高度や気圧面における気象要素の分布を図に表したもので、じつは、同じ気圧(等圧)ごとに数種の天気図が作られています。いったい、高層天気図から何が読み取れるのでしょうか。

 気象や天気に関する入門書として好評の『図解・天気予報入門』、および『図解・気象学入門 改訂版』の著者、古川武彦さんと大木 勇人さんの解説でお届けします。

 ※本記事は、『図解・天気予報入門』、および『図解・気象学入門 改訂版』を再編集・再構成の上、お送りいたします。

 前回記事のおさらいになりますが、高層天気図の見方を説明するために300hPaの高層天気図を簡略化して表した図「高層天気図の見方」でご説明します。矢羽根が風向・風速を表しており、▲の印1個は50ノット、長い線1本が10ノット、短い線1本が5ノットの風速を表しています(1ノットは約0.5 m/s)。

 また、図中の等高度線は、気圧が300hPaとなる高さが等しい地点を結んだものです。地形図の「等高線」と同じと思って見てください。すると、図の右上の丸く閉じた等高度線の部分は周囲より低いので、右上に低くくぼんだ部分がある地形がイメージできたでしょうか? 

 等高度線を見てイメージした地形の低くくぼんでいるところは気圧が低く、高いところは気圧が高いと考えてください。図の右上の丸く閉じた等高度線の部分は、周囲より低いので、気圧の低い部分を表しています。風は気圧が低い方を左手に見て、等高度線に平行に吹いていることも確認しましょう。

 図「300hPa高層天気図」に実線で描かれているのが等高度線で、「L」は低圧部、「H」は高圧部を表します。

 等高度線に付された「8640、8880、9120、9360、9600」といった数値から、高度9000 m 前後の気圧配置を表していることがわかります。300hPa高層天気図は対流圏のかなり上層の気象状況を表します。

 また、図には、実線の等高度線以外にも、破線が描かれています。この破線は、等風速線です。20 ~200 の数字が付されていますが、これらは風速を表し、単位はノットです。

 日本の位置する中緯度の上空では西風が強く、季節により強さに差がありますが、一年を通じて偏西風と呼ばれる西風が吹いています。等高度線の間隔が狭くなっているところには特に強い偏西風があり、最も強いところがジェット気流と呼ばれるものです。

 図の等高度線の密になった部分には、200ノット(約100 m/s)の等風速線があり、この天気図で風速が最大の部分です。ここに偏西風ジェット気流の軸があります。

 また、「W」の記号は暖気があるところ、「C」は寒気のあるところを示します。