沖縄県民おなじみ あるスイーツの人気店が介護事業に参入する “納得”のワケとは

AI要約

浦添市に新たな通所介護施設がオープンする。昼はデイサービス、夕方はフィットネスジムと2つの顔を持つこの施設を運営するのは、沖縄県民に親しまれる「富士家ぜんざい」を提供する飲食店。

介護事業に参入する背景として、社長の親の介護体験から、施設のイメージを変える独自の通所介護施設をつくりたいという思いがあった。

富士家の介護事業への参入には、介護福祉士として長年働いてきた経験を持つ田場恵介さんが鍵となっており、40歳~64歳の「第2号被保険者」に焦点を当てた施設開発が行われている。

沖縄県民おなじみ あるスイーツの人気店が介護事業に参入する “納得”のワケとは

6月、浦添市に新たな通所介護施設がオープンする。昼はデイサービス、夕方はフィットネスジムと2つの顔を持つこの施設を運営するのは、沖縄県民に親しまれるあの ”冷たいスイーツ” を提供する飲食店。介護事業に参入する背景を取材したー

■通所介護施設とジムを兼ねた施設を経営するのは…

まるでカフェのような空間に、トップアスリートも使用するという様々な最新機器が並ぶのは、6月3日に浦添市のてだこ浦西駅近くにオープンする通所介護施設「RELIFE」。

平日朝9時から夕方5時までは、通所介護施設。夕方5時以降は、フィットネスジムとして営業する2つの顔を持つ。この施設を立ち上げたのは―

▽スタッフ

「富士家ぜんざいになりまーす!」

1992年創業の富士家。自社工場で作る甘く煮た金時豆と柔らかい白玉が富士家ぜんざいの特徴だ。

社長の大嶺隆さんが、自宅近くにできたピザ店をヒントに、ぜんざいのデリバリーを始め、瞬く間に人気が広がった。そんな富士家が、なぜ介護事業を始めることになったのか。

▽大嶺隆社長(57)

「おやじ、おふくろの介護のなかで、そういう施設を何か所か回ったんですね。僕のイメージからすると、病院だとか、行きたいと思うもの(施設)を介護でどうにかできないかと」

大嶺社長自身が親を介護するなか、「これまでのイメージを覆すような通所介護施設をつくりたい」そんな思いが芽生えたのだという。

「飲食店と一緒で、光の感じや風通し、居心地が良いとか、そういう気持ちになれるような内装を心がけました。初めての挑戦なのでワクワクしかないが、愛されるデイサービス事業ができたらいいと思っています」

■異業種の介護参入には 強い味方も

富士家の介護事業参入には、もう1人、鍵となる人物がいる。田場恵介さん(46)。富士家に入社する前は、介護福祉士として26年間、福祉の現場で働いてきた異色の経歴の持ち主だ。

▽田場恵介さん(46)

「ある意味見えないプレッシャーもあるので、どぎまぎしながら、楽しんでやっている」

▽大嶺隆社長(57)

「15年~20年前からの波乗りの仲間で、僕が先輩ですけど、(親の介護について)よく相談していたんですね。またやっていた仕事に戻るのっていう形だったが、僕が説得してやろうってことになった」

田場さんは、この施設のオープンに至ったのは、通所介護施設を取り巻く ”ある課題” も背景にあったと教えてくれた。

▽田場恵介さん(46)

「各事業所さん、模索しながら色んな事業を展開してきたとは思うが、市場が高齢者中心というので、「第2号被保険者」が見落とされているのが現状」

介護保険の加入者は、65歳以上の「第1号被保険者」と40歳~64歳の「第2号被保険者」に分けられる。

沖縄県のデータ(2024年1月末時点)では、支援や介護を必要とする人、約6万3000人のうち「第2号被保険者」は全体の2.5%。

県理学療法士協会は、圧倒的に多い65歳以上を対象にした通所介護施設が多くならざるを得ず、40歳~64歳の「第2号被保険者」が職場復帰に向けた十分なリハビリを行える施設は、少ないとしている。

▽田場恵介さん(46)

「若い方たちが埋もれているということに気づいた。リハビリや運動特化型のデイサービスはあるが、若い層が求めているリハビリではないのが現状」