青森地裁で懲役30年判決 7つの罪全て認定

AI要約

2020年、青森県七戸町で知人男性を除雪機でひき殺したとして、懲役30年の判決が言い渡された。

裁判では被告が無罪を主張する中、検察側の主張が支持され、計画的な犯行が認定された。

被告は主に不正な事業資金繰りを隠すために犯行を行い、反省の態度を見せなかった。

被告は知人男性を車から海に転落させ殺害を図り、また別の場所で除雪機を使って殺害した。さらに火を放つ犯行も行い、総額933万円を詐取した。

裁判員裁判は長期にわたり、初公判から97日を要した。判決を受けて被告の弁護人は控訴の方針を固めたと述べた。

 2020年、青森県七戸町で事故を装い知人男性を除雪機でひき殺したなどとして、殺人、殺人未遂など七つの罪に問われた本籍七戸町、住所不定、無職の被告(37)の裁判員裁判で青森地裁は22日、求刑通り、懲役30年を言い渡した。裁判長は主文を後回しとし、判決理由から読み上げ、七つの罪を全て認定。「被告は不合理な弁解に終始し、自身の罪と向き合う姿勢を示していない」と断じた。

 被告は七つの罪のうち、詐欺罪以外は「何もやっていない」と無罪を主張。殺人罪の争点は事件性、犯人性、殺意の有無、殺人未遂罪は殺意の有無、放火各罪は犯人性にかかっていた。

 判決は検察側の主張を全面的に支持した。裁判長は量刑理由で、中古重機買い取り販売会社を営んでいた被告が、重機売買でトラブルがあった取引先の知人男性=当時(64)=を車の助手席に乗せたまま海に転落させたとされる殺人未遂と、除雪機でひき殺したとされる殺人の両罪について、いずれも事故に見せかけるための偽装工作をするなどした「計画的な犯行」と指摘。2度にわたり知人男性を狙い、殺害を遂げていることから「強い殺意を有していたと認められる」とした。

 被告は事業の資金繰りに困ったあげく重機売買を巡って不正を働いたとして、その発覚を防ぐために「知人男性の命を犠牲にしてまで保身を図っており、人命軽視の態度は甚だしい」と糾弾した。

 その上で、被告は詐欺を除く各犯行について認めておらず、「反省の情をうかがうことはできない」と非難した。

 判決によると、20年9月23日、八戸市の八戸港で知人男性を被告が運転する軽トラックの助手席に乗せて海に転落させ殺害しようとした。12月23日には、被告の実家敷地内で、知人男性の背中に家庭用除雪機を乗り上げさせ、死亡させた。21年5~6月には同市、七戸町、三沢市、藤崎町の住宅やアパート、物置小屋などに火を放ち、同年2~4月には男性3人から計933万円を詐取した。

 判決を受け、被告の弁護人は「被告本人と話し合って、控訴の方針を固めた」と話した。

 今回の裁判は初公判から判決まで97日を要し、裁判員裁判としては2009年の制度施行以来、青森地裁で過去最長(中断があった裁判は除く)。