20年以上毎日続ける顔面コピーが「現代アート」に! 井口直人さんが拓く新たなセカイ

AI要約

障がいのあるアーティストが20年以上にわたり続けている顔面コピーの作品に注目。

施設とコンビニで毎日行う顔面コピーが、現代アートとして展覧会まで開催されている。

アーティストの表現が生み出す可能性に驚き、魅力を感じさせる。

20年以上毎日続ける顔面コピーが「現代アート」に! 井口直人さんが拓く新たなセカイ

障がいのある人の表現の魅力と可能性に注目するシリーズ「アートミーツハート」。今回は、20年以上毎日続けている自分の行動が「現代アート」に。今や展覧会も開く「顔面コピー」アーティストを取材しました。

■きっかけは、施設に導入されたコピー機…

空き缶を集めているのは、井口直人さん・52歳です。

通っている福祉施設で空き缶をつぶす作業をするのが毎日のルーティン。井口さんが空き缶つぶしに精を出す一番の目的はー。

さふらん生活園 水上明彦施設長「シールを集めるためにこの作業をされています。シールをはがして、これをコピーしたい。これをコピー撮りたがっているんです」

集めたシールを持って早速、施設の事務所にやってきた井口さん。

水上施設長「押していい?行くよ」

井口直人さん「いいよ」

ガラス面に顔を押し付けると小刻みにコピー機を揺らします。

水上施設長「どう?」

井口直人さん「かっこいいね」

出来あがったのはこの日集めたシールと幻想的に浮かび上がる顏。

水上施設長「調子に乗って僕たちも『顔入れてみたら』って(そしたら)『やる』っていうことで、自分の顔をコピーするっていうことが始まったんですけれども。シールよりも自分の顔の方が好きだったというか」

井口さんが顔面コピーを始めたのは、施設にコピー機が導入された2003年から。好きなものを撮ったり手を入れてみたりと施設のスタッフとの遊びの中から顔面コピーは生まれました。

井口さんは、こんなところでも…。

近所のコンビニは、井口さんが朝と夕方に客として缶コーヒーを買う際に顔面コピーをすることを静かに見守っていて、井口さんが帰るとそっと顔を押し付けたガラス面を拭いてくれているそうです。

■「これがアート?」そこの境界がおもしろい

施設とコンビニで20年以上にわたり毎日顔面コピーを続けている井口さん。水上施設長の息子さんが試算したところ、これまでコピーした枚数は推定5万枚以上。

水上施設長「2色コピーをやり始めてから意外と生々しくなくて、井口君の顔が。かっこいいなっていうふうになってきたんですね、そこからコレクションし始めたというか」