『海洋熱波』発生「海面水温6度上がった」三陸沖は世界で最も水温が上昇した場所に 海の異変で漁師困惑

AI要約

海面水温の上昇による「海洋熱波」が、魚種の変化や養殖に影響を及ぼしている。

ホヤ漁師の斎藤寿さんは、養殖場所を15分離れた場所に移動するなど工夫して水揚げ量を維持している。

高い海水温は取れる魚にも影響を及ぼし、タチウオの水揚げ量が急増している。

『海洋熱波』発生「海面水温6度上がった」三陸沖は世界で最も水温が上昇した場所に 海の異変で漁師困惑

海面水温が著しく上昇するいわゆる「海洋熱波」の影響で、三陸沖では取れる魚種が変化するだけでなく、養殖にも工夫が必要になってきています。今後、私たちをとりまく気候をも大きく変えてしまう可能性があります。

■さらに沖へ、養殖場所を変える漁師

8月29日、宮城県石巻市の寄磯漁港です。漁港から船を出すのは、ホヤ漁師歴40年以上の斎藤寿さん。通常は漁港から10分ほどの場所でホヤの養殖を行ってきましたが、現在は、さらに先の15分ほど離れた場所で行っています。

ホヤ漁師 斎藤寿さん:

「寄磯の場合はこうやってロープにホヤが残っている。だから他の浜と違って夏腐れとか高水温による死滅が、漁場がいいために少ない」

海水温の上昇で、養殖していたホヤの多くが死滅する大きな打撃を受けた所もありましたが、斎藤さんのホヤは、大規模な被害を免れ、今年度も例年並みのおよそ45トンの水揚げを見込んでいます。

ホヤ漁師 斎藤寿さん:

「他の浜と違って寄磯の場合はホヤが主流なので、イカダの取り回しもできる。出荷させるまでに2回ホヤを移動させる」

斎藤さんのホヤは養殖開始から4年ほどで収穫。翌年出荷される予定のホヤは水温が低く、潮の流れがよい沖に離れた漁場へ移動させ、ホヤを死滅から守る狙いです。

■肌で感じる「海の異変」とは

高い水温による被害を最小限に留める斎藤さんですが、海や気候の異変を感じています。

ホヤ漁師 斎藤寿さん:

「海の中に手をいれても、全然冷たくないってのがやっぱり分かる。沖作業してても(暑さで)一日通して作業することができなくなった」

高い水温の影響は取れる魚にも現れています。

8月10日、石巻魚市場での水揚げです。網の中から現れたのは、大量のタチウオ。以前は西日本で水揚げ量の多かったタチウオですがピーク時の2021年にはおよそ430トン。水揚げ量がまとまり始めた2013年の6トンと比べると70倍にも増えました。

石巻魚市場 佐々木茂樹社長:

「(今年も)暖水系の魚種が優勢ですね。ここ5~6年そういう傾向がずっと続いてますし、海水温もかなり高いですので、どうしても暖かい水を好む魚が多くとれてます」