アニメ「小市民」岐阜市舞台 モデルの岐阜北高校やイチゴタルト買った洋菓子店、ファンが聖地巡礼

AI要約

直木賞作家・米澤穂信さん原作のアニメ「小市民シリーズ」が岐阜県を舞台に7月から放送され、実在する場所が登場するため、ファンが聖地巡礼に訪れている。

主人公は高校生の小鳩常悟朗と小佐内ゆきで、学園ミステリーに巻き込まれる日常の描写が中心。架空の街「木良市」を舞台に、岐阜市をモデルにした風景や場所が描かれている。

アニメに登場するスイーツ店や学校、長良川周辺など、実在する場所の再現度が高く、放送開始後にはファンが各所を訪れるようになっている。

アニメ「小市民」岐阜市舞台 モデルの岐阜北高校やイチゴタルト買った洋菓子店、ファンが聖地巡礼

 岐阜県高山市出身の直木賞作家・米澤穂信さん原作のアニメ「小市民シリーズ」が、7月からテレビ朝日系で放送されている。主人公らが暮らす街は岐阜市をモデルに描かれており、実在する場所が多数登場。県内外からファンが“聖地巡礼”に訪れている。

 物語の主人公は、高校生の小鳩常悟朗(こばとじょうごろう)と小佐内ゆき。平穏で慎ましく生きる「小市民」を目指すが、日常のささいな出来事の謎解きに巻き込まれていく学園ミステリー。アニメは、同シリーズの「春期限定いちごタルト事件」と「夏期限定トロピカルパフェ事件」が軸となっている。

 舞台は架空の街「木良(きら)市」。忠節橋周辺の長良川の風景が毎話のように登場する。金華山や柳ケ瀬商店街、岐阜駅の「黄金の信長像」のほか、建物や店舗まで、市民には見覚えのある街並みがちりばめられている。さらに、エンディングでは各所の実写映像が流れる。

 主人公らが通う学校のモデルは岐阜北高校。小島和秀教頭は「玄関や廊下、階段にかかる『書』までそっくりで驚いた。教員や生徒の間でも話題になっている」と語る。岐阜市ロケツーリズム推進室によると、2023年春ごろに製作関係者が訪れ、市内を撮影して回ったという。放送開始から約2カ月がたち、同推進室担当者は「登場した場所にファンが来ているようだ。台湾や韓国からこの作品の舞台を巡るために岐阜を訪れたという人もいた」と反響を口にする。

 小佐内はスイーツが好物のため、劇中ではさまざまなカフェが登場する。第1話で、2人がイチゴタルトを買った洋菓子店は、外観や内装が同市常盤町にある「AND LADY(アンドレディ)」をほうふつとさせる。放送後から県外や中国などから“巡礼者”が訪れ、写真に収める姿も。予告映像で店を突き止め、放送開始前に来た客もいたという。

 岐阜市の男性会社員(31)は、高山市をモデルにしたアニメ「氷菓」以来の米澤作品ファンで「今回は知っている店がたくさん出るのでぜひ来たかった」と、お目当てのイチゴタルトを手に入れ満足げ。オーナーパティシエ安藤栄紀さん(50)と妻直子さん(50)は「アニメのおかげで多くの人にケーキを楽しんでもらえてうれしい」と思いがけない宣伝効果に笑顔を見せる。

 みんなの森ぎふメディアコスモスには主人公2人のパネルを展示。2階の市立中央図書館には4日、製作委員会から提供された「場面写」12枚などを紹介するコーナーも新たに設けられ、市もアニメ聖地盛り上げの機運を高めている。