2024年静岡県産一茶、1万トン台に回復 摘採時期の気温高が影響 農水省統計

AI要約

農林水産省が16日発表した2024年の一番茶生産量統計によると、本県の荒茶生産量は前年比10・3%増の1万トンで、過去最低を記録した昨年から一転、2年ぶりに1万トンの大台を回復した。4月以降の気温上昇で茶葉の芽伸びが進んだことなどが影響し、生産量が上向いた。

主要産地の5府県の荒茶生産量は前年比6・1%増の2万2300トン。本県のシェアは1・7ポイント上昇の44・8%で、全国1位の座を守った。2位鹿児島の生産量は横ばいの8450トン、シェアは2・4ポイント下げて37・8%だった。三重は8・1%増の2120トン、京都は18・9%増の1320トンといずれも増産となった。

5府県の10アール当たりの生葉収量も493キロと過去10年で最も多かった。本県では3月下旬の冷え込みで萌芽が遅れたが、4月以降の気温上昇や断続的な雨により急速に生育が進んだ。農水省は「おおむね天候に恵まれ、生育が順調に推移した」と分析。一方、鹿児島は日照不足が影響し、収量が伸び悩んだという。

2024年静岡県産一茶、1万トン台に回復 摘採時期の気温高が影響 農水省統計

 農林水産省が16日発表した2024年の一番茶生産量統計によると、本県の荒茶生産量は前年比10・3%増の1万トンで、過去最低を記録した昨年から一転、2年ぶりに1万トンの大台を回復した。4月以降の気温上昇で茶葉の芽伸びが進んだことなどが影響し、生産量が上向いた。

 主要産地の5府県(静岡、鹿児島、三重、京都、埼玉)の荒茶生産量は前年比6・1%増の2万2300トン。本県のシェアは1・7ポイント上昇の44・8%で、全国1位の座を守った。2位鹿児島の生産量は横ばいの8450トン、シェアは2・4ポイント下げて37・8%だった。三重は8・1%増の2120トン、京都は18・9%増の1320トンといずれも増産となった。

 5府県の10アール当たりの生葉収量も493キロと過去10年で最も多かった。本県では3月下旬の冷え込みで萌芽(ほうが)が遅れたが、4月以降の気温上昇や断続的な雨により急速に生育が進んだ。農水省は「おおむね天候に恵まれ、生育が順調に推移した」と分析。一方、鹿児島は4月上中旬の日照不足が影響し、収量が伸び悩んだという。

 県お茶振興課の佐田康稔課長は、生産量の回復を歓迎する一方で、品質面や需要に応じた生産には課題が残ると指摘。「需要が伸びている海外市場をいかにつかむかが重要。輸出先の開拓や有機栽培への転換などの支援を強化していく」と語る。

■平均単価は最低水準に 「生産量増え、深刻な下落」

 2024年の県内一番茶生産量は前年から上向いたものの、取引単価の低迷には歯止めがかからない。JA静岡経済連が16日にまとめた24年県内産一番茶の1キロ当たりの平均単価推計値(荒茶ベース)は、前年比9・8%安の1763円。コロナ禍で過去最低だった20年(1760円)とほぼ同水準にまで落ち込んだ。

 今年の一番茶取引は、国内消費の低迷を受け、多くの茶商が在庫を抱えたままシーズン入りした。気温上昇や降雨により、4月下旬から県内各地の摘採時期が集中。取引中盤から後半にかけて市場に荷があふれた上に、芽伸びの進行で品質も低下。単価の下落に拍車をかけた。

 経済連茶業部の清水直也部長は「生産量が増えた結果、深刻な茶価の低下につながった」と受け止める。その上で「茶価回復のためには有機碾茶(てんちゃ)をはじめ、茶商の要望に合わせた生産を徹底していく必要がある」と話す。