松川浦産アオサ使用の調味料をフランス輸出へ 福島県相馬市のマルリフーズ

AI要約

福島県相馬市のマルリフーズがフランスにアオサ調味料を初輸出する。

アオサ生産量が震災前の4分の1にとどまり、加工品として輸出する方針。

「かけるあおさ」は和洋食に合う特長的な商品であり、輸出により福島の食材を広める。

松川浦産アオサ使用の調味料をフランス輸出へ 福島県相馬市のマルリフーズ

 福島県相馬市で海産物の加工販売を手がけるマルリフーズが欧州での販路拡大に向け、今月末に初めて、フランスに松川浦産のアオサを使った調味料「松川浦かけるあおさ」を輸出する。アオサの生産量は東日本大震災発生前の4分の1ほどにとどまっており、加工品として販売し付加価値を高める。社長の稲村利公さん(64)は「まずはアオサの輸出を成功させ、徐々に県産の海産物のおいしさを伝えていきたい」と意気込む。

 同社は昨年10月、オランダの企業と冷凍アオサの取引を開始した。東京電力福島第1原発事故発生後に、県産水産物が欧州向けに輸出される初の事例となった。現地からは「鮮やかな緑色が料理に彩りを加える」「ノリの香りが立つ」などと評価は上々だ。欧州で県産の食材が受け入れられると確信を持った。今年7月には、内堀雅雄知事が同国でアオサを含む県産品を売り込んだ。

 一方、輸出できる相馬産のアオサには限りがある。養殖用のノリ棚が震災の津波で損壊した他、大量の土砂が松川浦に流れ込み、養殖できる範囲が狭まった。土砂の掘削や搬出が困難で、棚の再生に時間がかかっている。震災発生前の2009(平成21)年に約1150トンだった生産量は、2023(令和5)年は約300トンにとどまっている。出荷量が限られている中、加工品として輸出することで単価を高める。漁業者の生産と産地再生の意欲向上にもつなげる。

 「かけるあおさ」は、アオサとフライドガーリックをオイルに漬けた商品で、2022年に販売を開始した。ノリとガーリックの強い香りが特長で、ご飯や豆腐など和の食材の他、パンやパスタにも合わせることができる。輸出規制がある動物オイルを野菜オイルに変えるなど、郡山市の加工業者と開発を重ね、海外向けの商品に仕上げた。営業部長の阿部純也さん(51)らが県内外で開かれる商談会に足しげく通い、輸出業者にPRして取引先との関係を構築してきた。

 今月中に約700本が海路でフランスに運ばれ、10月にも現地で販売される。カルパッチョやスープなどのレシピを記載したパンフレットも配布し、アオサの活用法を紹介する。稲村さんは「福島の名前を、食べ物のおいしい産地だと世界に広めたい」と語っている。