札幌市円山動物園のゾウ「タオ」 19日で1歳 誕生きっかけ、雌同士に絆

AI要約

札幌市円山動物園のアジアゾウの雌タオは19日に1歳となり、体重は生まれた時の約5・5倍、605キロに増えた。

タオの誕生で雌同士の関係が改善し、現在は雌全4頭が群れで暮らしている。

タオの誕生から始まる成長過程や、雌ゾウ全4頭のトラブルなしの同居について。

札幌市円山動物園のゾウ「タオ」 19日で1歳 誕生きっかけ、雌同士に絆

 札幌市円山動物園のアジアゾウの雌タオは19日に1歳となる。順調に成長し、体重は生まれた時の約5・5倍、605キロに増えた。さらに、タオの誕生で、相性が合わずに別居していた雌同士の関係が改善。4月からは、野生と同じく雌全4頭が群れで暮らしている。ゾウのストレス軽減のため飼育員が柵越しに世話する「準間接飼育」による国内初の誕生事例となっただけではなく、その後の成長過程や雌の全頭同居で大きなトラブルは起きておらず、他園のゾウ担当者から「飼育方法として参考になる」と評価の声が上がっている。

 8月上旬、来園者でにぎわう屋内ゾウ舎。「パオーン」とタオが鳴くと、シュティン(33)と娘ニャイン(11)、タオの母親パール(20)は駆け寄ってタオを囲み、警戒するしぐさを見せた。担当の鎌田祐奈さん(30)は「同居できているのはタオの影響が大きい」と目を細める。

 2018年11月、ミャンマーから雌3頭とタオの父親シーシュ(16)が来園。野生では、雄は成熟すると単独で行動する一方、雌は群れをつくるため、同園は来園約1カ月で雌3頭で同室での飼育を始めた。ただ、パールとシュティンの相性が良くなく、21年3月には体を押し合ってシュティンが耳にけがを負い、シュティン親子とパールを別居させた。

 転機は昨年のタオの誕生。出産を柵越しに見守ったシュティンとニャインは、生まれたてのタオに鼻を伸ばして触り、興味を示していた。このような姿を見た担当者らは昨年10月、まずはニャインとタオ、パールの3頭を同居させた。当初はパールが警戒する様子を見せたが、タオがニャインにじゃれるなど順調に進み、今年1月から2~3日に1回、1時間以内で全4頭での同居をスタート。体が衝突しないよう餌を分散して置くなど工夫も重ね、4月に完全同居へ切り替えた。