全国ゾウの名前アンケート 1位は…「ゾウといえば」のあの名前
福岡市動物園がアジアゾウ4頭の名前を公募中であり、全国の動物園で人気のゾウの名前について調査された。ハナコやミミ、ダンボなど、様々な名前が挙げられている。
アフリカゾウとアジアゾウの名前の特徴についても述べられており、近年導入されたゾウには現地の名前を取り入れる動きもある。
ゾウには愛着を持たせるだけでなく、絶滅の危機にある動物として自然環境を考えるきっかけにもなるという指摘がされている。
7月にミャンマーからアジアゾウ4頭を受け入れた福岡市動物園が8月末まで、4頭の名前を公募している。では、全国のゾウがいる動物園ではどんな名前がつけられているのか。聞いてみたところ、最も多かったのは「ゾウといえば」のあの名前。時代を感じさせるものから人気キャラクターにちなんだものまでバラエティーに富んでいた。
毎日新聞は6~7月、日本動物園水族館協会(JAZA)に加盟する動物園で、2023年末時点でゾウを飼育する39の動物園を対象にアンケートを実施。「現在飼育しているゾウ」と「過去に飼育したことのあるゾウ」の名前を聞き、34園から回答を得た。
◇「ハナコ」は長い鼻、優しさのイメージ
のべ213頭のうち堂々の1位は「ハナコ」。表記は漢字やひらがな、カタカナの違いはあったが、札幌市円山動物園▽上野動物園(東京都台東区)▽名古屋市東山動物園――などに計6頭いた。多くの動物園は由来が「不明」と回答したが、帝京科学大の並木美砂子特任教授(動物園教育)は「ハナコ」が多い理由を「長い『鼻』に加え、当時の花子の『優しい』とか『美しい』というイメージも重なったのでは」と推察する。
特徴的な大きな耳からか、甲府市遊亀公園付属動物園などで飼育されていた「ミミ」が計3頭で2位。ディズニーアニメの名作にちなんだ「ダンボ」(静岡市立日本平動物園など)のほか、「タロウ」(愛媛県立とべ動物園など)▽「リリー」(円山動物園など)▽「ヨーコ」(横浜市立金沢動物園など)――が2頭ずつで3位タイだった。
◇アフリカゾウは欧米風
ハナコもそうだが、動物園では性格が穏やかな雌が飼われることが多く、女性に多い「子」がつくケースも目に付いた。東京・日本橋の百貨店「高島屋」の屋上で一時飼われ、その後、上野動物園や東京都日野市の多摩動物公園に移った「高子」や愛知県豊橋市の豊橋総合動植物公園にいた「豊子」などだ。
アジアゾウに比べると、アフリカゾウは「リチャード」(群馬サファリパーク)や「ジム」(九州自然動物公園アフリカンサファリ)など、カタカナ表記の欧米風の名前が多かった。
最近、国外から4頭を導入した動物園はどうか。
14年にラオスから導入した京都市動物園は「冬美トンクン」「春美カムパート」「夏美ブンニュン」「秋都トンカム」と命名し、前半部分は市民からの公募、後半部分はラオスで付けられた名前を残した。
18年にミャンマーから4頭を受け入れた札幌市円山動物園は公募の結果、現地で付けられた愛称を呼びやすいようにアレンジした「パール」「シュティン」「ニャイン」「シーシュ」と名付けた。両動物園とも、現地の名前を生かそうという思いが感じられた。
◇「自然環境を考えるための出発点」
いつの時代も人気者のゾウだが、国際的には保護が必要とされる存在だ。並木さんは「名前を付けることで愛着を持ってもらえる一方、多くの動物園は『かわいい』だけで終わらず、来園者に絶滅が危惧される動物の背景にある環境問題まで考えてほしいはず」と代弁する。「そういう意味では、みんなで自然環境を考えるための出発点として、名前の募集があるのかもしれないですね」
福岡市動物園では、4頭セットで名前を募集。複数の候補に絞り込まれ9月下旬~10月中旬(予定)に来園者に投票してもらい、新たな名前は秋ごろに発表される。【竹林静】