凸凹石畳に急勾配の上り坂…花の都を駆ける42.195キロは美観の中に試練がいっぱい 「五輪史上最難関コース」を記者が体感してみた

AI要約

パリ五輪最終日のマラソンは過酷なコースで、観光名所を駆け抜ける一山麻緒選手が挑む。石畳や急坂が選手に試練を与える中、一山は強さを求められると感じている。

一山は代表に決まって以降、徳之島と米国でトレーニングを積み重ねてきた。速さよりも強さが重要なコースで、どんな走りを見せるか注目が集まる。

結果は東京五輪の8位を上回る成績が期待されている。

凸凹石畳に急勾配の上り坂…花の都を駆ける42.195キロは美観の中に試練がいっぱい 「五輪史上最難関コース」を記者が体感してみた

 パリ五輪最終日の11日、鹿児島県出身の一山麻緒(27)=資生堂、出水中央高卒=が出場するマラソンは「五輪史上最難関のコース」と言われる。花の都を駆ける42.195キロは美観の中に試練が連続。注目ポイントに足を運んでみると、想像以上に過酷だった。

 8日午前8時(パリ時間)、本番と同じ設定でパリ市庁舎前をスタートする。気温は約17度。からっとして涼しい。

 市街地のコース沿いは名だたる史跡や建築物が連なり、わくわくする。オペラ座を横目に通過し、ルーブル美術館へ。ここで待ち受けるのが石畳。凸凹道は選手の足に負担となりそうだ。

 折り返し地点のベルサイユ宮殿を目指し、セーヌ川沿いを進む。15キロ付近から上り坂となる。宮殿に着く頃には気温も20度を超え、日差しは痛さを感じるほど強い。

 一山は15キロから30キロにかけての中盤を勝負のポイントに挙げる。アップダウンが激しく「我慢比べになる。外国勢に食らいつけるかが大事」と語る。

 とりわけ28キロ過ぎの高低差はすごい。

 駆け下りた先に勾配13.5%の急坂が壁のように立ちはだかる。歩くだけでも足がずっしりと重くなる。この坂を耐え、続く下りで一気に加速できる選手がメダル争いに絡みそうだ。

 終盤は再びセーヌ川沿いに市街地を目指す。エッフェル塔を過ぎればゴールは目前。石畳を走り、皇帝ナポレオンの眠るアンバリッド(廃兵院)でフィニッシュする。

 一山は代表に決まって以降、起伏に富む徳之島で合宿し、米国の高地でトレーニングを重ねてきた。速さよりも強さが求められるコースで、どんな走りを見せるか。東京五輪の8位を上回る成績に期待が高まる。

 (パリ・本社運動部=下野敏幸)