奄美群島 米軍統治の歴史深掘り 研究家が意見交わす 復帰検証Q&A会議 鹿児島県奄美市

AI要約

1953年(昭和28年)8月8日ダレス米国務長官による返還声明、翌9日名瀬市(当時)であった同声明感謝郡民大会に合わせ開催された座談会形式の「復帰検証Q&A会議」では、奄美群島の日本復帰運動について歴史や政治的な背景が詳細に議論された。

花井恒三さんを進行役とした会議では、奄美共産党の歴史的役割や米軍政の関与、教育関係者の発言など、さまざまな視点から議論が展開された。

参加者からは、信託統治の在り方や集会の意義、沖縄返還の歴史検証の必要性など、様々な意見や情報が提供され、座談会は活発な議論の場となった。

奄美群島 米軍統治の歴史深掘り 研究家が意見交わす 復帰検証Q&A会議 鹿児島県奄美市

 「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」など6団体は9日、鹿児島県奄美市名瀬のアマホームPLAZA(市民交流センター)で座談会形式の「復帰検証Q&A会議」を開いた。同会事務局長の花井恒三さん(76)が進行役となり、「奄美共産党」「沖縄復帰運動との相違点」などをテーマに、歴史研究家、教育関係者など約30人が自由に意見を交わした。

 1953年(昭和28年)8月8日ダレス米国務長官による返還声明、翌9日名瀬市(当時)であった同声明感謝郡民大会に合わせ開催。花井さんが、米軍政・行政・復帰運動・生活・教育の各分野で新たに分かった事実や疑問点を基調講義した。

 「奄美人民政府の樹立」を掲げ47年4月に結成した奄美共産党(奄美人民党)について花井さんは「米軍は共産党だけを締め付ける政治(弾圧)を行い、泉芳朗などの活動を容認した」などと話した。同党の歴史的役割や革新同志会(保守系)との対立などにも言及した。

 政治的な背景や人物像にまで踏み込んだ検証が進められる同会議は、浮かび上がる疑問を一つ一つつぶしていく手法で進められるため、当時を知る参加者からさまざまな意見や情報が挙がり、議論は細部に及んだ。

 歴史研究家からは、「信託統治の在り方は、世界史の流れと比較していかないと理解が難しい」「小笠原返還~沖縄返還の歴史検証も必要」などと会議の進め方に対する意見も出された。

 教育関係者からは、「集会や陳情は、自らの生きる権利を要求した行為。子どもたちには、我慢するのではなく誰かに話し、行動につなげることを伝えていきたい」とする発言もあった。