「強烈な違和感」「意思は前向きに評価」 9条に自衛隊明記重視の岸田首相に反応さまざま

AI要約

岸田文雄首相が自衛隊明記の憲法改正に意欲を示し、立憲民主党や共産党から批判が相次いでいる。

自民党は9月の総裁選で保守派支持を狙っているが、公明党との意見の相違も指摘されている。

日本維新の会は前向きな姿勢を示し、議論を進める姿勢を見せている。

「強烈な違和感」「意思は前向きに評価」 9条に自衛隊明記重視の岸田首相に反応さまざま

岸田文雄首相(自民党総裁)が自衛隊明記の憲法改正に改めて意欲を示したことについて、立憲民主党の長妻昭政調会長は8日の記者会見で「強烈な違和感」を表明した。9月に迫る自民総裁選で保守派の支持を得る思惑があるとの見方を示し、「夏休み最後の日に宿題をしているようだ。憲法がもてあそばれている」と批判。公明党について9条に対する考え方が自民と「真逆だ」と指摘し、「よく連立政権を組めるなと思う」と皮肉った。

共産党の志位和夫議長もX(旧ツイッター)への投稿で、「自衛隊を憲法に明記すれば、『あるものを書くだけ』ではすまない。9条の制約が完全になくなり、海外での武力行使が無制限になる。こんな重大な問題を、自らの延命に使うとは。どこまで見下げ果てた態度か。許してはならない」と強調した。

両党とは異なり、憲法改正を目指す日本維新の会の藤田文武幹事長は7日の会見で、「この時期になって項目について『これとこれが良い』と言及するのは少し遅すぎると言わざるを得ない」と指摘。その上で「議論を牽引していくという意思については前向きに評価したい。議論のテーブルにわれわれも積極的についていく」と語った。

自民は改憲4項目で9条への自衛隊明記を掲げたが、党内の論点整理では公明が主張する72条や73条への明記案も俎上に載せる予定だ。

公明の北側一雄副代表は8日の会見で、「今月中に論点を整理するということなので、しっかりと議論の行方を注視したい」と強調。衆院憲法審査会では緊急事態下における国会機能維持に比べて自衛隊明記の議論が「十分に熟していない」との見解も示した。

一方、木原稔防衛相は8日の会見で「党の議論に防衛相の立場でコメントするのは差し控えたい」と述べた。首相は総裁の立場で発言したとして、「時代の要請に応えて憲法改正を考える機会を国民に提起することは、政治の責任だとの考えを示されている」とも語った。