近年、西日本で相次ぐ活断層による内陸地震は“前ぶれ”か 西日本は南海トラフ地震発生前の『地震活動期』と専門家 「南海トラフ沿いに『ひずみ』は着実にたまる」

AI要約

南海トラフは太平洋の海底にのびる崖で、海と陸が出合う場所である。

南海トラフ地震が将来起こる確率は70~80%で、最悪の場合には全国で32万人以上の死者が出る恐れがある。

GPSのデータを使って南海トラフ沿いのひずみを解析することで、地震のリスクを把握している。

近年、西日本で相次ぐ活断層による内陸地震は“前ぶれ”か 西日本は南海トラフ地震発生前の『地震活動期』と専門家 「南海トラフ沿いに『ひずみ』は着実にたまる」

■南海トラフは「海と陸が出合う場所」 太平洋の海底にのびる崖

高知県の室戸岬にある展望台。「恋人の聖地」をうたうロマンチックな看板がある場所からは太平洋を一望できます。一方、その看板のすぐ近くには別の古びた案内板が設置されています。「南海トラフ」についての説明です。

そこには「海と陸が出会い、新しい大地が誕生する最前線」と書いてあり、室戸岬から140km先の沖合いの太平洋の海底に位置していると説明してあります。

南海トラフは、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下に潜り込んでいる場所です。この2つのプレートの境界付近が広い範囲で大きくずれるため、巨大地震となります。

■今後30年以内に70~80%の確率で発生 着実にたまる「ひずみ」

今後30年以内に70~80%、40年以内なら90%程度の確率で起こるとされる「南海トラフ地震」…。マグニチュード8から9の「巨大地震」によって最悪のケースの場合、全国で死者は32万人以上に達するとされています。

広島県が東日本大震災のあとにまとめた被害想定では、最悪のシナリオで、県内でも1万5000人近くが命を落とすおそれがあるとされています。西日本は広く壊滅的な被害を受ける想定です。

スマートホンやカーナビなどの位置情報にも使われるGPSのデータを使い、地盤の動きをミリ単位で解析することで、地震を引き起こす「ひずみ」がどこにたまりやすいのかを研究している京都大学防災研究所の西村卓也教授。南海トラフについて次のように指摘しています。

京都大学防災研究所 西村卓也 教授

「どんどん次の地震に向けて着実にひずみが南海トラフ沿いに蓄えられつつある。

東日本でも、やはり東日本大震災の前に解析が行われていて、岩手県沖から福島県沖にまで、かなり広い領域にがっちりひずみをためているのはわかっていた。ただそれが一度に割れるとは思っていなかった。

南海トラフについても最悪としてはこれが全部一度に割れるということも考えておいた方がいい。」