小林製薬“紅麹”事業から撤退「健康被害、痛恨の極み」同族経営から脱却「補償に全力」

AI要約

小林製薬は紅麹(べにこうじ)事業から撤退し、健康被害問題に対応している。

対応の遅延などの責任をとり、創業家出身の役員が辞任した。

製品回収と補償手続きを行い、40億円の特別損失を計上した。

小林製薬“紅麹”事業から撤退「健康被害、痛恨の極み」同族経営から脱却「補償に全力」

 「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントをめぐる健康被害問題で、小林製薬(本社・大阪市中央区)は8日、2016年から続けてきた紅麹事業から撤退すると発表した。

 撤退後も補償や原因究明は進め、「再発防止策を講じて、企業としての使命を果たしたい」としている。

 この問題をめぐっては、入院した人が467人、通院が1819人、健康相談件数は約1万300件にのぼる。

 摂取との因果関係を調査している死者は、107人に達した(2024年8月4日現在)。

 小林製薬では、一連の対応の遅延などの責任をとり、いずれも創業家出身の小林一雅前会長と小林章浩前社長が、7月23日付で辞任した。

 8月8日付で就任した山根聡社長は、ます、「あってはならない事態を起こしてしまい、痛恨の極みだ。原因究明に傾注し、想像力が足りなかった」と謝罪した。

 そして、同社の同族経営の是非について、「良く言えば“一枚岩”であり、強く回るが、回り方が逆になると負の方に回る。ひとたび問題が生じれば、対応か後手に回るなどの危険性もはらんでいる。それでも創業家は大株主。非常に大きな存在だ。今後は創業家に対して是々非々のスタンスで経営を進める」と述べた。

 この日、山根新社長と章浩前社長(現・取締役補償担当)が記者会見に出席した。

 小林製薬が記者会見を開くのは、健康被害問題が発覚した後の3月29日以来。

◆本格的補償受付開始~8月19日から

 小林製薬は、3月27日付で大阪市保健所から回収命令を受けた「紅麹コレステヘルプ」など、『プベルル酸』を含有することか確認された(または、その可能性がある)製品を摂取した人を対象に、8月19日から補償手続きを受け付ける。

 補償内容は、医療費、慰謝料、休業補償、後遺障害による逸失利益(本来得ることができたとされる報酬)など。

 同社はまた、紅麹関連製品回収などにかかる費用として40億円の特別損失を4~6月期に計上した。純利益は、前年同期比81.7%減の14億3600万円と、2年ぶりの減益となった。