「信用を失墜させる行為」社会福祉法人“乗っ取り”で元理事長の男らに有罪判決=静岡地裁

AI要約

静岡市の社会福祉法人元理事長が現金を横領した罪で有罪判決を受けた事件について報道されました。裁判長は信頼失墜の行為として厳しく非難しました。

元理事長と共謀した無職の男が約7,400万円を横領し、新理事長への便宜を図るために賄賂を渡したことが明らかになりました。

裁判では元理事長に懲役2年6か月、執行猶予4年、無職の男に懲役3年、執行猶予5年の判決が言い渡されました。

「信用を失墜させる行為」社会福祉法人“乗っ取り”で元理事長の男らに有罪判決=静岡地裁

静岡市の社会福祉法人の口座から現金を横領した罪などに問われていた元理事長らの裁判で、静岡地裁は8月7日、有罪判決を言い渡しました。裁判長は「社会福祉法人に対する信頼を失墜させる行為」などと述べました。

判決を受けたのは、静岡市清水区の社会福祉法人の元理事長の男(44)と無職の男(52)です。判決によりますと、2人は共謀して、元理事長の男が当時理事長を務めていた静岡市清水区の社会福祉法人の口座からおよそ7,400万円を抜き出しました。また、新しい役員の選任で便宜を図ってもらおうと、前任の理事長に現金2,000万円を渡す約束などをしました。

社会福祉法人の経営は、理事会、評議員会、監事、会計監査人が互いに、メンバーを選任したり、運営資金が適正に使用されているかなどを監査したりする関係性にあります。

しかし、この社会福祉法人をめぐり、無職の男は新しく理事長に就任した被告の男が運営資金を自由に使えるよう前理事長に賄賂を渡して、名ばかりの評議員などを置いたといいます。

2人から頼まれて評議員を務めた男性はこう語りました。

<元評議員の男性>

「ちょっと名前貸してよっていう感じ。別に(施設に)来いと言われるわけじゃないしさ。『老人ホーム』くらいしか聞いていないから」

8月7日、静岡地裁で開かれた判決公判で、國井恒志裁判長は「社会福祉法人に対する社会の信頼を失墜させる行為」などとして、元理事長の男に懲役2年6か月、執行猶予4年、無職の男に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

<社会部 山口駿平記者>

「今回の事件は社会福祉法人にまつわる法律の抜け穴を狙った悪質な犯行でした。このような不正を防ぐためには法人の内側を透明化するなど制度の在り方を見直す必要がありそうです」