ICT導入補助金260万円を不正受給か 和泊の介護老人保健施設、県が立ち入り検査 運営元「導入したがパソコンを廃棄した」と不正否定

AI要約

鹿児島県和泊町の介護老人保健施設「沖永良部寿恵苑」が、補助金不正疑惑で県の立ち入り検査を受ける。

施設は介護ソフトの導入を申請しながら実際には導入せず、補助金を260万円不正に受け取っている疑いが浮上。

施設は介護ソフト導入後、パソコンを廃棄し、不正を否定しているが、補助金を全額返還する意向を示している。

ICT導入補助金260万円を不正受給か 和泊の介護老人保健施設、県が立ち入り検査 運営元「導入したがパソコンを廃棄した」と不正否定

 鹿児島県和泊町の介護老人保健施設「沖永良部寿恵苑」が、鹿児島県の介護サービス事業所ICT導入支援事業で介護ソフトの導入を申請しながら実際は導入せず、補助金260万円を不正に受け取った疑いのあることが6日、分かった。施設を運営する医療法人慈心会は「導入したが、ソフトを入れたパソコンを廃棄した」として不正は否定。県は6月下旬に施設に立ち入り検査を実施、対応を検討している。

 南日本新聞の調べによると、沖永良部寿恵苑は2020年夏ごろ、介護記録や請求業務を一元管理するソフト(605万円)を導入すると申請。県の審査を経て、実績報告書などの関係書類を提出し、21年5月に補助金が交付された。申請に必要な見積書などは、鹿児島市のソフトウエア販売会社が作成した。

 県は今年6月、施設を抜き打ちで検査。職員の聞き取りなどを通じ、ソフトの有無について確認したとみられる。

 慈心会の理事長は取材に対し、介護ソフト導入後、職員がソフトを入れたパソコンを廃棄したと説明。「ソフトがないことは県の立ち入り検査で初めて知った。私の認識不足で適正に運用できなかった」として補助金を全額返還する意向を示した。申請に関して「手続きは業者の手助けがないとできない」と語ったが、ソフトウェア会社の代表は「申請は施設がした。こちらは導入したとの見解だが、県と施設で話をしておりコメントする立場にない」と話した。

 慈心会は国の「IT導入補助金」も同じソフトウェア会社から物品を購入したと申請し、297万円を受け取っている。この件については理事長は取材に答えなかった。

 同苑は1991年開設。沖永良部島唯一の介護老人保健施設で、58人が入所している。