【山口県】[㈱トクヤマ]冷暖房に水素活用 荏原グループと実証実験

AI要約

㈱トクヤマと㈱荏原製作所が水素焚吸収冷温水機の共同実証試験を開始

RHDH型は水素をエネルギー源とする装置で、周南市のトクヤマ文化体育館に設置される

荏原グループとの実証試験では水素の安定供給と長期連続運転の評価を目指す

【山口県】[㈱トクヤマ]冷暖房に水素活用 荏原グループと実証実験

 総合化学メーカーの㈱トクヤマ(周南市御影町、横田浩社長)とポンプメーカーの㈱荏原製作所(東京都、浅見正男社長)、グループ会社の荏原冷熱システム㈱(東京都、加藤恭一社長)は1日、水素焚(すいそだき)吸収冷温水機(RHDH型)の共同実証試験を開始した。

 RHDH型は冷水と温水を発生させる装置で水素がエネルギー源。㈱トクヤマの関連施設である周南市江口のトクヤマ文化体育館の隣に設置し、館内の空調設備8基とつないで冷水由来の冷風、温水由来の温風を送る。

 水素は二酸化炭素を排出しない燃料として環境面から注目を集め、安全性や技術的課題を克服しながら国内外の企業が実用化に向けて研究開発を進めている。

 今回の実証試験で用いる水素は㈱トクヤマ徳山製造所の苛性ソーダ製造工程で発生する副生物。配管を通して高品質な水素を安定的に供給する。荏原グループは流体や熱制御の製品に強みを持ち、RHDH型での冷暖房実験を通じて長期連続運転の信頼性、実用性評価を進める。試験は来年3月までの予定。

 荏原製作所のCP水素関連戦略ビジネスユニットの鈴木将仁さんは「民生のインフラで使うことで新しい水素の利活用と脱炭素への貢献にもつながっていけば」と期待を込めた。

 ㈱トクヤマのカーボンニュートラル企画グループ、大森一幸さんは「副生水素の有効活用と新たな水素需要の開拓を目指し、地域に根差した本実証を進めたい。県、市の目指す水素先進県、水素先進都市の実現の一助となればうれしい」と話した。