熱湯を使った「除草システム」導入検討へ 秩父市荒川総合運動公園で勉強会

AI要約

温水除草システムの導入検討に向けた勉強会が秩父市で開催され、地域の草刈り作業の悩みや新たな解決策について議論がされた。

刈払機を使う草刈り作業では、事故が起きやすいため、温水除草システムの可能性が注目されている。

参加者は、温水の噴霧作業が女性でも安全に行えるという点に興味を示し、システムの活用範囲にも期待を寄せている。

熱湯を使った「除草システム」導入検討へ 秩父市荒川総合運動公園で勉強会

 温水除草システムの導入検討に向けた勉強会が7月30日、秩父市荒川総合運動公園(秩父市荒川上田野)で行われ、秩父市シルバー人材センター(野坂町)と秩父市市民部スポーツ課を中心に、秩父地域の約20人が参加した。(秩父経済新聞)

 秩父地域は土地の84%が山林、2%が農地となっている。自然豊かな土地である一方で、木の手入れや草刈りなど環境整備の需要も多い。夏は特に屋外施設の草刈りの頻度が上がり、時期によって運動場などでは練習や試合に合わせて毎週のように草刈り作業が必要となるという。

 草刈り作業の道具は、乗用芝刈機を持つ施設もあるが一般的には肩掛け式の刈払機を使うことが多い。取り付けた円盤型の刃やコードが高速回転し、草を根元近くから刈り払う。刈払機を使った作業では石が飛んで車や家屋を破損したり、刃や飛散物で人体を傷つける事故が起きたりすることもあり、慎重な作業が必要な上に炎天下の作業となるため、同市や同センターでは悩みを抱えている。

 同センター荒川事業所職員の堀俊介さんは「刈払機を使う作業だけでなく、刈った後の草の片付けも大変。酷暑のため時短勤務を推奨するにしても、何かいい方法がないかを模索している」と苦労を明かす。「除草するために塩や重曹を使う方法や防草シートやウッドチップを敷く方法なども検討した。温水を草にかけることで除草できる方法を知り、薬剤も使わないため環境にも優しい方法なのではないかとメーカーに連絡を取った」という。

 堀さんは以前は秩父地域の雇用活性化推進事業などを行う「ちちぶ雇用活性化協議会」に勤めたこともあり、「秩父地域1市4町でも同様の悩みを抱えているのでは」と考え、同センターだけではなく声がけを行った。同市教育委員会・危機管理課や横瀬町教育委員会、聖地公園管理事務所、小鹿野町シルバー人材センターなどからも参加者が集まった。

 当日は、ケルヒャージャパンの社員が、同社の温水除草システムを使ってデモンストレーションなども行った。温水除草システムでは、温水高圧洗浄機に取り付けた専用ノズルの先端から100℃近い熱湯を噴霧。熱湯をかけることで草の根のタンパク質構造を変異させ、根から枯らすことができるという。飛んでくる種子の発芽などは防ぐことが難しいため、全ての雑草を根絶できるわけではないが、3月~11月の草刈りが必要となるシーズン中に3~4回ほどの作業を行えば雑草が防げるという。

 参加した女性職員は「力仕事かと思ったが、温水の噴霧作業は女性でも片手で行うことができた。薬剤をまくより安全に使えるのでは」と話していた。

 堀さんは「このシステムだと、除草だけでなく、山道や歩道のコケ除去、公園などにある遊具の除菌、建設現場の機材洗浄などにも利用もできるとのことだったので、さまざまな場面で活用できると感じた。同じ地域の参加者と悩みが共有できたので、今後、良い協力体制が取れれば。来年春に行われる『第75回全国植樹祭』で会場となる秩父ミューズパークの環境整備なども視野に導入を検討できたら」と話す。