【パリ五輪開幕】世界の平和貢献願う(7月26日)

AI要約

パリ五輪が開幕し、世界中のトップアスリートが競技に臨む。日本選手団は金メダル20個を目指し、多彩な種目での活躍が期待される。

本県関係者も様々な競技で活躍する選手を送り出しており、特に渡辺勇大、東野有紗組やサッカー女子チームに注目が集まる。

しかし、ロシアとウクライナの対立がスポーツ界に影響を及ぼし、オリンピック精神にそぐわない状況が続いている。

 パリ五輪が26日(日本時間27日未明)に開幕する。32競技、329種目に200を超える国・地域から選手約1万500人が出場する。トップアスリートならではのプレーで、勇気と感動を巻き起こし、国や地域の境を超えた友情を深め、国際社会が平和へ共に歩むきっかけになるよう願う。

 日本選手団は金メダル20個を目指している。3年前の東京大会では過去最多の27個を獲得した。今回は、海外での夏季大会で最も多かった2004年アテネの16個を上回る目標を掲げた。お家芸の柔道や復活を期すバレーボールをはじめ、スケートボード、ブレイキンなど都市型スポーツなどの五輪前哨戦で好成績を残してきた。幅広い種目での活躍が期待される。

 本県関係ではバドミントン、競泳、自転車トラック、サッカー、ハンドボール、バレーボールに合わせて19選手(バックアップメンバー、リザーブ要員を含む)が出場登録されている。富岡高出身で、東京五輪バドミントン混合ダブルス銅メダルの渡辺勇大、東野有紗組は2大会連続のメダルに挑む。サッカー女子にはJFAアカデミー福島出身などの8選手が名を連ねる。2012年のロンドン大会での銀メダルを超え、頂点を目指してほしい。

 華々しいスポーツの祭典を手放しでは喜べないのが残念でならない。2年前に始まったロシアによるウクライナ侵攻の制裁措置として、国際オリンピック委員会(IOC)はロシアと同盟国ベラルーシの選手に対し、個人の中立選手としての立場でしか参加を認めず、国歌や国旗の使用も禁じている。ウクライナの選手にすれば、出場自体に異議が出るのは当然だろう。ロシアは反発を強め、パリ五輪後に友好国を招いた独自の国際総合大会の開催を検討している。スポーツが対立と分断の象徴になっている現実がやるせない。

 オリンピック憲章は「人種や肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見などにより、いかなる種類の差別を受けることなく、確実に権利と自由が享受されなければならない」とうたう。競技に対するアスリートの真摯[しんし]な姿勢に声援を送り、国際協調のあり方も改めて考えたい。(神野誠)