伊能忠敬宿泊時の弁当、実践女子大生が”再現” 下諏訪宿本陣で報告会

AI要約

江戸時代に日本全国を測量した伊能忠敬が下諏訪宿本陣岩波家で提供された弁当を再現し、報告会を行った。

岩波家を守る会メンバーと実践女子大学の学生が協力し、江戸時代の献立表を再現する取り組みを行った。

ゼミ生たちは江戸時代の料理を研究し、全11品の弁当を作り上げた。

伊能忠敬宿泊時の弁当、実践女子大生が”再現” 下諏訪宿本陣で報告会

 江戸時代に日本全国を測量した伊能忠敬(1745~1818年)が、1809(文化6)年に長野県下諏訪町にある下諏訪宿本陣岩波家に宿泊し、測量の際に岩波家が提供した弁当を実践女子大学(東京都)の学生が”再現”し、24日に同本陣で報告会を行った。岩波尚宏当主は「今後、提供方法などを検討し、観光振興につなげたい」としている。

 伊能忠敬は幕府の命を受け、測量隊18人と旧暦の9月24日から27日まで滞在し、諏訪湖や諏訪地方の村々の田畑を測量。その間の献立表が残されていた。今年2月にその一部を再現したが、弁当は食材が書かれたのみで、どのような料理が供されたか分かっていない。

 地域住民有志らでつくる「岩波家を永遠(とわ)に守る会」メンバーの大久保洋子さんが元実践女子大の教授だったことから、同大生活科学部食生活科学科の佐藤幸子教授が献立表のことを知り、「江戸の食文化から学ぶSDGsフィールドスタディー」として、ゼミ生9人と4月から再現に向けた研究を始めた。

 献立表に描かれていた食材は「長いも」「椎茸(シイタケ)」「焼玉子」「ちく輪」「大栗」「焼とり」「糸こんにゃく」の7品で、ゼミ生たちは江戸時代の料理のことが書かれた書籍などからメニューを想像。当時の調味料を使って、「長いも東寺巻き」「椎茸の傘揚げ」「巻き卵」「竹輪といんげんのおかか和え」「栗ご飯」「鶏肉の幽庵焼き」「つき蒟蒻(こんにゃく)と伏見唐辛子のきんぴら」に仕上げた。彩りがさえないため食材を追加し、最終的な弁当は全11品になった。

 主に調理を担当した清水華音さん(22)=原村出身=と真船美咲妃さん(22)=群馬県出身=は「フードプロセッサーなど現代の調理器具を使わずに、おろし金やすり鉢を使ったので、調理に苦労した。現代でもおいしい弁当になったと思う」と話した。

 弁当は今後、同大の調理・試食スペースで学生たちが試食し、味や色どり、盛り付けなどをブラッシュアップ。2人は卒業論文にまとめるという。