日台交流プレーボール 津奈木町が新たな観光模索 農業体験も楽しむ

AI要約

台湾・高雄市の少年野球チーム「PONY」の小中学生と家族計24人が津奈木町を訪れ、地元チームとの練習試合や農業体験を楽しむ。

台湾の大学教員がきっかけで実現し、地元との交流や豊かな自然体験を提供する観光スタイルの構築を目指す。

交流試合後にバーベキューやスイカ割りで親睦を深め、台湾のメンバーは日本の友情を喜ぶ。

日台交流プレーボール 津奈木町が新たな観光模索 農業体験も楽しむ

 台湾・高雄市の少年野球チーム「PONY」の小中学生とその家族計24人が5、6日、津奈木町を訪れ、地元チームとの練習試合や農業体験を楽しんだ。町は今回の訪問を、海外客受け入れに向けた実証実験と位置づけ、費用の一部を支援。地元との交流や豊かな自然体験などを提供する、町ならではの観光スタイルの構築を目指す。

 台湾の大学教員、呉亦昕さん(46)が昨年秋、仕事で津奈木町を訪れたことがきっかけで実現。豊かな自然にひかれ、長男が所属する少年野球チームの家族に声をかけた。

 「ナイスバッティング」-。6日、町総合運動公園であった、津奈木クラブとPONYとの交流試合は、津奈木がヒットを連発し、11-1で勝った。選手にとって初の海外チームとの対戦。初めは緊張気味だったが、試合後、バーベキューやスイカ割りで交流を深めた。林駿希さん(9)は「プレー中、台湾の人が励ましの言葉をかけてくれた。仲良くなれてうれしい」。PONYの陳奕禎さん(12)も「みんな親切で情熱的」と笑顔を見せた。

 今回の訪問は、町が福岡県の旅行会社に委託する形で実施。食事代や観光バス料金の一部を負担した。これまで訪日客の旅行先は大都市圏中心だったが、近年は地方にも注目が集まっている。また、台湾の訪日客はリピーターが多い。呉さんは「地元の人とのふれあいや自然体験を通して、さらに日本を深く知りたい」と話した。

 地元住民の協力も欠かせなかった。地元婦人会が郷土料理を振る舞ったほか、試合前日は、倉谷地区の「わらく農園」で、野菜の収穫とピザ作り体験でもてなした。町美術館に勤務する石田ミサ子さん(79)は台湾でも知られた童謡を歌い、「みなさんが来てくれて幸せ」と歓迎した。

 呉さんによると、PONYメンバーからは「何度も日本に来たが、今回が一番よかった」との声が多く上がったという。「台湾の人は国を越えて友だちをつくりたい気持ちが強い。『共通言語』として野球を楽しみ、地元との交流で日本の夏を満喫できた」と喜ぶ。

 津奈木町は今後、交流を促進する補助金、町観光協会創設による受け皿強化も視野に入れる。町政策企画課の濱田真大さん(29)は「今回の交流は町にとっても良い機会。野球がきっかけだったが、より多様なテーマで、津奈木らしい観光を提案していきたい」と話した。(伊藤恩希)