施錠管理徹底へ 再び全面通行止め 世界自然遺産地域 林道山クビリ線 鹿児島県・徳之島利用適正化連絡会議

AI要約

徳之島の世界自然遺産地域の利用適正化連絡会議が開催された。開錠キーの回収やエコツアーガイド同行の義務付けなど、利用ルールの徹底対策が協議された。

山クビリ線の利用状況や生物多様性の保全と利用の両立に向けた取り組みが報告された。エコツアーガイドの供用やゲート開錠キーの管理などに関する意見が交わされた。

災害による被害やクロウサギのロードキル件数の推移、そして夜行性の希少種への影響についても検討された。

施錠管理徹底へ 再び全面通行止め 世界自然遺産地域 林道山クビリ線 鹿児島県・徳之島利用適正化連絡会議

 【徳之島】世界自然遺産地域の利用適正化を協議する2024年度「徳之島利用適正化連絡会議」(鹿児島県主催)が17日、徳之島町役場会議室であった。2019年7月から入口ゲートを施錠、一般利用には認定エコツアーガイド同行(有料)を義務付けた同町北部の林道「山クビリ線」の利用状況などを協議。利用ルールの徹底対策には、限定配布中の開錠キーの回収、更新方針も確認した。

 同線は、世界自然遺産登録エリア「天城岳」(533㍍)の中腹などをぬって同町山(さん)~花徳~轟木地区に至る全長約12㌔。アマミノクロウサギをはじめとする希少動植物のホットスポット、奄美群島国立公園指定(一部は特別保護地区)エリア。国・県・徳之島3町・自然保護団体・地域住民代表などで構成する同利用適正化連絡会議は19年7月から、同利用ルール(徳之島町林道管理条例)を運用している。

 同連絡会議は約1年5か月ぶり。各代表ら約25人が出席。県自然保護課・奄美世界自然遺産室の長野玲子室長はあいさつで「山クビリ線の生物多様性の保全と利用の両立に向けてご意見を」と要請。山クビリ線の利用状況、ルールの運用状況を報告して今後の対策を協議した。

 同報告によると、同線におけるクロウサギのロードキル(交通事故死)確認件数は、利用ルール開始前の1年間「4件」に対し、開始後は4年間で「1件」(同日現在)。災害の状況では、21年に発生した崩壊被害の復旧工事が今年4月に完了して全線開通。ところが先月の豪雨で新たに6か所が被害、再び「全線通行止め」に陥り、復旧は「来年度に持ち越す可能性も」(町当局)。エコツアーガイド連絡協など関係者からは、全面通行止めではなく、コア地域など一部区間の供用努力も求めた。

 また同関係者は、全面通行止め中にも関わらず深夜、未明に往来する不審車両の映像(監視カメラ)も提示し、夜行性の希少種への影響も指摘。関係機関・団体に限定貸与中のゲート開錠キーの管理の徹底〝仕切り直し〟を求める意見も。今後、当初配布済みのキーについては回収、新たな施錠対策を検討する方針も確認した。