より強く軽く! 熊本大、新型マグネシウム合金を開発 世界初の「ミルフィーユ」構造

AI要約

熊本大先進マグネシウム国際研究センターは、軽量で強度が高い次世代合金「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」の新型を開発したと発表した。

新型の合金は、軟らかい層と硬い層がまばらに重なる世界初の構造で、より強く軽くなっており、ロケットや航空機などに活用することで、燃費の向上や温室効果ガスの排出削減につながると説明されている。

KUMADAI耐熱マグネシウム合金は、競技用車いすや部品のネジなどにも実用化されており、宇宙・航空分野や輸送機器などへの活用に向けて、メーカーと開発を進めているという。

より強く軽く! 熊本大、新型マグネシウム合金を開発 世界初の「ミルフィーユ」構造

 熊本大先進マグネシウム国際研究センター(熊本市)は9日、軽量で強度が高い次世代合金「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」の新型「ミルフィーユ型」を開発したと発表した。軟らかい層と硬い層がまばらに重なる世界初の構造で、より強く軽くなったという。ロケットや航空機などに活用することで、燃費の向上や温室効果ガスの排出削減につながると説明した。

 研究センターによると、2003年に開発したKUMADAI耐熱マグネシウム合金の研究を進めて改良した。多層構造になっている合金のうち、密に重なる硬い層の間隔を1ナノメートル(ナノは10億分の1)から12ナノメートルまで広げることに成功した。硬い層を全体に分散させ、「キンク強化」と呼ばれる独自技術で強度を10%高めた。合金に加える亜鉛とイットリウムの量も半分で済み、軽量化した。

 東京・霞が関の文部科学省で記者会見した河村能人[よしひと]センター長は「マグネシウム合金がさらに軽量化したことで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できる。幅広い分野での実装を目指したい」と述べた。

 KUMADAI耐熱マグネシウム合金は、競技用車いすや部品のネジなどに実用化されている。現在は宇宙・航空分野や輸送機器などへの活用に向けて、メーカーと開発を進めているという。(中尾有希)