福島県産米 英の取扱量倍増へ 県と業者合意「天のつぶ」販売促進 欧州販路拡大足掛かりに

AI要約

県産米の欧州での販売強化のため、県と英国の輸入業者TKトレーディングは取扱量を3年間で倍増させる合意。

英国での需要増加により、県オリジナル品種「天のつぶ」の販売を促進。

県産米の取扱量が落ち込んでいたが、英国を通じて欧州全体への輸出拡大が期待される。

福島県産米 英の取扱量倍増へ 県と業者合意「天のつぶ」販売促進 欧州販路拡大足掛かりに

【英国ロンドンで本社報道部・丹治隆】県産米の欧州での販売強化のため、県と英国の輸入業者TKトレーディングは9日午前(日本時間9日夕)、英国での取扱量を今後3年間で倍増させると合意した。現地では日本食が人気で、ロンドン市内のレストランから既に引き合いがあるという。かみ応えがある硬めの食感が好まれるため、特徴が合う県オリジナル品種「天のつぶ」の販売を促進する。政権が交代したばかりの英国は欧州連合(EU)との協調路線を打ち出しており、県産米の取扱量が欧州で最も多い英国を足掛かりに他の地域への輸出拡大が期待される。

 内堀雅雄知事の要請に対し、河本穂(かわもと・みのる)社長が明らかにした。英国でほぼ全ての県産米を取り扱っており、今年に入って毎月1トン程度仕入れている。5月にロンドン市内で複数の和食レストランを経営する中堅企業から「天のつぶ」を毎月0・5トン分購入したいとの依頼があったという。3年間で年間20トン以上を扱うのを目標とする。TKトレーディングは輸入だけでなく日本産食材を中心に扱う小売店や飲食店も経営。8月に新たに開店するレストランでも県産米をはじめ県産品を提供する予定で、風評払拭や魅力発信に引き続き協力する。内堀知事は貢献に謝意を伝えた。

 英国をはじめ欧州では、健康意識の高まりなどから、すし店やおにぎり店など日本食を提供する店が増えており、需要の拡大が見込める。「天のつぶ」は冷めてもおいしく、現地の人の好みに合うとされる。

 英国での県産米の取扱量は2020年2月のEU離脱やコロナ禍で落ち込み、2023年度は7・2トン。英国は欧州の中で県産米をはじめ県産農畜産物の取扱量が最も多い。県によると昨年度、欧州に輸出した農産物8・5トンのうち、英国は8割以上を占めている。昨年度の県産農産物の海外への輸出量は453トンで過去最高だったが、欧州へは全体の1・8%で輸出量増加が課題となっていた。

 EU離脱で、英国から欧州の他の国に県産米を販売する場合、関税がかけられるのが大きな障壁だ。TKトレーディングによると、EU離脱後、欧州の他の国への取扱量は減少しているという。河本社長は「政権交代した英国政府はEUとの関係改善を目指しており、取引量が回復する可能性はある」と話した。

 県県産品振興戦略課は「英国での流通量の増加を契機に、欧州全体への販路拡大につなげたい」としている。