広域犯罪未然に防げ! 福島県警直轄警ら隊新設 一線署またぎ対応 職質〝エース〟投入 来春以降

AI要約

県警本部は、広域化する犯罪に対応するため、「自動車警ら隊」を設立することを決定した。

治安向上プログラムの一環として、新たな取り組みが導入されることで、犯罪の早期解決と防止が図られる見通し。

地域警察の機能強化や地域警察運営規則の見直しも行われる予定。

 広域化する強盗、金属窃盗、特殊詐欺などの事件を受け、県警本部は警察署管内をまたいで制服警察官がパトカーで昼夜を問わず巡回する「自動車警ら隊」を本部直轄で新設する。一線署にある現行の自動車警ら班の活動範囲は、原則として署管内のみ。広域事件への対処、現場への早期臨場体制の強化が課題だった。職務質問や事件対応に秀でた警察官を選抜し、来春以降の「自ら隊」発足を目指す。将来的には各地域に分駐隊を置く方向。

 県警は人口減少や少子高齢化などの社会情勢と治安情勢の変化を踏まえ、独自の治安向上プログラムを策定。9日に公表した。

 2023(令和5)年の刑法犯認知件数は8003件で、過去最多だった2002(平成14)年の約4分の1に減少。2023年の交通事故発生件数は2913件で、過去最多の2001年の約5分の1まで減った。一方で、交流サイト(SNS)などを通じた緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」による特殊詐欺や強盗、都市部で相次ぐ自転車盗、SNS型投資・ロマンス詐欺、若年層の大麻乱用などが新たな治安上の課題として台頭。事件・事故の早期解決に向け、警察官の現場臨場のさらなる迅速化が求められている。

 県警本部の刑事部に組織されている機動捜査隊、交通部の交通機動隊は各地に分駐隊を置いて24時間体制でカバーしている。パトカーの自動車警ら隊が新たに加われば、初動体制が強化される。自ら隊は都市部や過疎・中山間地域を問わずにパトロールし、犯罪の抑止力を高める。所轄をまたいだ広域事案が発生した場合、一線署と連携して警察官を集中的に投入し、犯人の早期摘発につなげる。

 自ら隊の具体的な在り方は今後詰めるが、地域部の地域企画課にある職務質問技能指導班の拡充を軸に検討が進められるもよう。広大な県土をカバーするためパトカーの導入台数を増やすほか、情報ネットワークシステムを充実させた高機能型交番の設置も検討していく。県警本部直轄の自ら隊が設けられていないのは、全国で本県を含め8県警。

 交番・駐在所の機能強化と弾力的運用も併せて進める。警察庁は年内に地域警察運営規則を見直す予定。これにより、現行の居住型の駐在所に加え、通勤型の駐在所の運用が可能になる。地域情勢に応じて、交番勤務の時間や配置人員を柔軟に運用する計画。