北帰行(7月8日)

AI要約

福島県から首都圏などへの若者の転出超過が続いており、25%の若者が県に戻る可能性を示す結果が出た。都会へのあこがれと実際の生活のギャップに気づいた若者もいる。福島市では若者が集まり、進学や就職、子育てなどをテーマに話し合う「福島っ子ベース」が初開催される。子育て支援施策も自治体が進める中、地元に戻り仲間と共に暮らすことの大切さが訴えられている。

若者たちが都会へのあこがれと古里への思いを巡らせる中、福島市では市こども計画の一環として若者の声を取り入れる動きがある。自治体は子育てファーストの施策を進める一方で、若者が仲間と共に地元に帰る意義を訴えている。

若い世代に向けて古里への呼びかけが行われており、都会の喧騒から離れ、ほんとの空を感じながら暮らす魅力を伝えている。北帰行する若者も増えており、地元での生活の価値が再考される時期かもしれない。

 残念なニュースが報じられて久しい。本県から首都圏などに出て行く若者が、入ってくる数を上回っている。いわゆる「転出超過」。女性は顕著で、全国上位のままだ。古里はそんなに魅力に乏しいのか▼首都圏在住の県内出身者(18~34歳)を対象に県が初めて実施した調査で、「福島県に戻る可能性がある」との回答が25%を占めた。4人に1人は多いか、少ないか。両論あろうが、都会へのあこがれと現実との落差に気付き、リセットを考える県人は確かにいるのだろう。高層ビルの乾いた林で思い探すは、懐かしい「ほんとの空」か▼若い世代よ、大いに語れ―。福島市は13日、初の「福島っ子ベース」を市内で開く。高校生から30歳未満が集う。進学、就職、結婚、子育てなどをテーマに、思いの丈を発する。寄せられた声は「市こども計画」に生かされる▼給食や医療費の無償化から、おむつの提供まで、自治体は懸命に「子育てファースト」施策を進める。最後のひと押しは、膝詰めで語り合える仲間がいるかどうかかもしれない。SNSファーストのお付き合いに疲れたならば、訛[なま]り懐かし古里へ。ほんとの空は翼を広げ、都会からの北帰行を誘っている。<2024・7・8>