同行避難、飼い主の理解を 山形・ペット施設関係者、21日に啓発イベント

AI要約

災害時にペットと一緒に滞在する「同行避難」について、避難する側の備えを進めようと山形市内のペット施設関係者が、啓発イベントを予定。避難所でペットの受け入れ態勢や避難側の準備が整っていない現状に注意を喚起。

ペットを家族の一員として大切に思う飼い主にとって、同行避難の円滑な実施には避難所の対応だけでなく、飼い主側の意識向上や事前準備が重要。

イベントではペットの日頃のトレーニングや避難用品の確認などについての講話や避難訓練、避難所受け入れ体験が行われ、ペットと一緒に避難するための準備と意識向上を促進。

 災害時にペットと一緒に滞在する「同行避難」について、避難する側の備えを進めようと山形市内のペット施設関係者が、今月に市内で啓発イベントを予定している。同行避難は、推進する指針を国がまとめてから10年以上たつが、関係者は受け入れ態勢とともに避難側の準備は整っていないと指摘。「どこでも一緒に避難できるようになるといい」と、心構えと準備が広がるよう願っている。

 同市長谷堂のペット霊園「フェアウェイペットメモリアルパーク」でチーフマネージャーを務める渡辺千穂さん(55)=同市=は、東日本大震災の被災地支援時に「ペットは避難所で受け入れられないから置いてきた」という声を聞いた。大雨で最上川と支流などが氾濫し本県で大きな被害が発生した2020年7月豪雨では、ペットがいるからと避難しなかったケースを知った。また今年1月の能登半島地震では、一緒には入れない避難所があった。

 飼い主にとってペットは家族の一員だが、避難所には動物が苦手な人やアレルギーの人がいる可能性もある。渡辺さんは同行避難を円滑に行うためには、避難所を設置する自治体などや運営者側の対応に加え「飼い主側の事前準備や意識向上が必要」と指摘する。

 具体的には、あらかじめペットをケージに慣らしたり、他の犬猫と一緒にいられるよう練習したりといった準備を挙げる。「飼い主の意識が高まれば避難所運営側は一歩進んだ対応ができる」。こうした思いからフェアウェイペットメモリアルパークが、21日に同所でイベントを開く。

 開催は午前10時~午後3時半。午前中は渡辺さんと動物看護師・トリマーの大木美和さん(白鷹町)、ドッグトレーナーの柳田恵梨さん(山形市)が、ペットの日頃のトレーニングや健康管理、避難用品や受け入れ可能な避難所の確認などについて講話する。午後は避難訓練や避難所受け付け体験などを行う。参加費は昼食として非常食のパンが付き2千円(家族2人目以降は1人500円)。1週間前まで申し込む。

 自らも犬を飼っているという渡辺さんは、ペットを「子どものような存在」と話し、「(災害時は)一緒に避難できるようになってほしい」と話す。イベントの問い合わせは同施設023(689)1689。

◆同行避難 東日本大震災では避難した飼い主がペットを迎えに戻って津波に巻き込まれたり、飼い主とはぐれるなどした犬や猫が野生化し繁殖したりした。環境省は2013年に災害時の同行避難を基本とした指針を策定。本県は23年に、飼い主とペットが安心して避難できる環境を整えようとマニュアルを作った。