逃げ出さない熊も 飯田下伊那での目撃は昨年上回るペース【長野県】

AI要約

長野県飯田下伊那地域でツキノワグマの目撃が相次いでいる。自治体や警察が注意を呼び掛けている。

5月末時点での目撃は28件で、昨年を上回るペース。人身被害は確認されていない。

県は対策として様々な注意事項を呼び掛けている。

逃げ出さない熊も  飯田下伊那での目撃は昨年上回るペース【長野県】

 長野県飯田下伊那地域でツキノワグマの目撃が相次いでいる。山林内だけでなく、住宅地周辺や幹線道路などでの目撃もあり、自治体や警察が注意を呼び掛けている。

 県南信州地域振興局林務課によると、5月末時点の飯伊での目撃は28件で、うち里地が5件。平年より目撃が多かった昨年を上回るペースとなっている。6月になってからも飯田市や豊丘村、泰阜村、天龍村など広い範囲で目撃が続いている。人身被害は確認されていない。

 26日午後5時半ごろには喬木村加々須の県道大島阿島線を車で通りかかった男性(64)が、体長1メートルほどの熊1頭を目撃。道路脇にいる熊に気付いて10メートルほど手前で停車したが、熊は逃げ出すことなく2~3分はその場にたたずんでいたという。

 男性は「熊は車に気付いている様子だったが、全然逃げないので怖かった」と振り返り、「人や車に慣れてしまっているのでは」と話した。

 目撃現場は大宮諏訪社の近くで周辺には民家がある。村によると、神社周辺では5月中旬から複数回、同サイズの熊の目撃があったという。

 県内で熊による人身被害や目撃が増加傾向にあることから、県は5日にツキノワグマ出没注意報を発出。▽山に入る際は音の出るものを携行し、複数人で行動する▽目撃のあった場所には近づかない▽電気柵設置や生ごみの適切な処理で熊を誘引しない―などの対策を呼び掛けている。

 同課担当は「特に熊の活動が活発な朝夕に農作業などをする際には大きな音でラジオを流すなど対策をしてほしい」と話していた。