71歳男性がコロナ禍に開いた「洋書オンライン読書会」 英語力の原点は「冒険家になる」夢だった

AI要約

大西吉巳(おおにし・よしみ)さん(71)は洋書に特化した読書会を主宰し、英語の本を読む楽しさや内容を語り合うことの魅力を伝えたいという思いから活動している。

大西さんは過去に冒険家を目指して英語力を磨くも、教師としての道へ進むこととなった。23歳で最初に洋書を読み切ったことをきっかけに、月に約3冊のペースで小説を読み続けている。

大西さんは約10年前から読書会に参加し、人との議論を通じて本をより深く理解できる喜びを感じている。そして、新型コロナ禍の中でオンライン読書会を立ち上げ、60人以上の参加者と共に洋書の楽しみを分かち合っている。

71歳男性がコロナ禍に開いた「洋書オンライン読書会」 英語力の原点は「冒険家になる」夢だった

 英語の本を読む面白さ、その内容を語り合う楽しさを知ってほしい-。大西吉巳(おおにし・よしみ)さん(71)はそんな思いから、洋書に限った読書会を主宰する。京都府宇治市に移り住んで4カ月と間もないが、「読書会の文化をこの地に根付かせたい」と意欲を語る。

 京都府福知山市出身。高校生の時、冒険家の植村直己さんに憧れて「プロの冒険家になりたい」と思い描いた。自転車で日本各地を回ったり、韓国を旅したりするうちに「海外で活動するには語学力が必要だ」と感じた。大学入学後、熱心に英語を勉強し始め、イギリス留学も経験した。

 次第に冒険家になる夢はしぼんでいったが、磨いた英語力は自身の取りえになった。それを仕事に生かそうと29歳で教員免許を取得し、府北部などの公立高校で英語を教えた。

 初めて洋書を最後まで読み切ったのが23歳の時という。イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説「動物農場」で、「1冊読んだことで自信になった。英語表現の豊かさや物語に入り込む楽しさを知った」。それ以降、サスペンスやミステリー、法廷劇など小説を中心に月3冊ほどのペースで読み続けている。

 約10年前に読書会に初めて参加したところ、「人と語り合うことで本を深く読み込める」という経験をした。ただ、洋書の読書会は少なかったことから、新型コロナウイルス禍の2021年8月、自らオンラインの読書会を立ち上げた。

 現在、その読書会には日本をはじめ、米国やフランス、中国などさまざまな人種国籍の約60人が登録している。毎回の参加人数を4人程度にとどめ、それぞれが読んだ本を紹介し合うブックトークの形式で読書の楽しみを共有している。

 大病をしたことをきっかけに、2月に福知山市から宇治市の高齢者住宅へ転居した。現在の目標は近隣地域で対面型の読書会を開催することという。「読書会は丁寧に読もうという動機付けになる。その魅力を分かち合える仲間を増やしたい」と話す。