DVなどの被害に遭いやすいケースも。「依存性パーソナリティ障害」とは?

AI要約

依存性パーソナリティ障害は、自己決定や責任を恐れ、他者に依存する傾向が強い障害である。

この障害の特徴として、決断が困難であり、依存相手を求める姿勢が強く、関係の崩壊を恐れるために自己主張ができなくなることが挙げられる。

依存性パーソナリティ障害では、他者への依存が優先されるため、自己の意見や感情を抑え込んでしまうことが多い。

DVなどの被害に遭いやすいケースも。「依存性パーソナリティ障害」とは?

本来は、一人一人異なるパーソナリティの大きな偏りによって、本人や周囲に悩みごとが生まれてしまう「パーソナリティ障害」。今回は、DVなどの被害に遭いやすいという「依存性パーソナリティ障害」について、精神科医の藤野智哉先生に伺いました。

――「依存性パーソナリティ障害」も女性に多いと聞きましたが、これはどういったタイプですか?

藤野先生 自分の人生を生きるというのは、自分の選択に責任を持つことでもありますが、そこを他者にゆだねてしまうのです。自分の決断に自信がなかったり、責任を取ることが怖かったりするので、誰かに判断を任せてしまうわけです。

【依存性パーソナリティ障害の特徴】

●自分だけで物事を決めるのが困難

●一人で生きていかなければならない状況への恐怖感が強い

●自分が頼れる存在としての依存相手を切実に求める

●関係が壊れることへの不安から、依存相手に反論できない

●一人になると不安や無力感を感じる

――選択や決断を他者にゆだねたとき、自分にとっていい結果ではない場合もあると思いますが、そういうときも素直に受け止められるのでしょうか。

藤野先生 例えば、相手が選んだ結果に文句を言ったら関係が壊れてしまう可能性がありますよね。このタイプは基本的に“依存ファースト”で、関係を断ち切られないことが最優先なので、結果に不満を言うことは多くありません。そして次第に正当な要求もしなくなる傾向があります。自分にとって不利なことでも反対できなかったりします。

――それは、考えることも放棄するようになるということでしょうか…。

藤野先生 いえ、まったく考えなくなるわけではありません。自分の考えや感情よりも他者への依存が重要なので、それを押し殺してしまうのです。このタイプは、判断してくれる他者がいると安定する反面、自分で何かを決めることに恐怖を感じるので、一人でいると不安定になります。

ですから、依存相手との関係が崩れるとすぐに次の依存先を探します。依存したい相手に受け入れてもらえるように自分を変えることも多いですね。見捨てられることへの強い不安というのは、気分の浮き沈みが激しく、人を振り回すような発言や行動をする「境界性パーソナリティ障害」の特徴と重なる部分でもあります。