「何が起きたんだ…」準絶滅危惧種の“ヒメサユリ”激減で地元に動揺…原因はシカなどによる食害【新潟発】
三条市でヒメサユリの花が激減し、ヒメサユリ祭りの会期が大幅短縮となった異常事態が発生。
シカによる食害が原因で花が激減し、祭りは急遽終了することに。
対策として光を放つライトや食害監視カメラの設置が検討されている。
新潟県三条市では例年この時期、見頃を迎えるヒメサユリの花が激減し、地元では動揺が走っている。例年の1割ほどしか咲いないという異常事態に、5月15日に始まったヒメサユリ祭りの会期は大幅短縮となった。一体何があったのか、その理由を取材した。
三条市の高城地区の里山に咲くヒメサユリの花。
ヒメサユリは新潟や福島県などに自生し、毎年5月ごろピンク色の花を咲かせる植物で環境省が準絶滅危惧種に指定する稀少なものだ。
5月15日に毎年恒例のヒメサユリ祭りが始まったが、観光客や地元の高校生からは「去年と比べると花が少ない」「もっといっぱい咲いていると思ったが、なくなっていたり、咲いていないものが多々あった」など花の少なさを惜しむ声が聞かれた。
その理由について、越後三条高城ヒメサユリ祭り実行委員会の熊倉芳和会長は「シカではなかろうか。例年の1割ぐらいしかない。残念だが寂しいかぎり」と話した。
ヒメサユリ祭り実行委員会によると、シカなどによる食害でヒメサユリが例年の1割ほどまで激減したと見られるという。
2023年の写真と比べると、確かに花が少ない印象だ。
熊倉会長は5月8日に例年通りのヒメサユリのつぼみを確認したというが、「14日にまた確認に来たら、最後の群生地の花が全てなくなっていて言葉が出なかった。これは何が起きたのだと」と振り返る。
シカとみられる動物は開花した花びらだけを狙い、食べたとみられる。例年なら多くの花が咲くというポイントには全く花が見られなかった。
こうした被害は2024年、突如発生したということで、熊倉会長は急遽、動物が嫌がる光を放つライトを設置するなど被害の拡大防止に努めている。
花が激減した影響で15日に始まった祭りは5月末までの開催予定だったが、19日で打ち切ることに。
高校生は「防ぐ方法はないのか調べてみたいなと思った。ヒメサユリは綺麗で大事な花なのでなくなってほしくない」と話す。
また、熊倉会長も「私たちも先輩から引き継いだもの。自然を守りながら、来客する皆さんに楽しんでもらえる形に持っていきたい」と話した。
熊倉会長は食害対策として監視カメラの設置などを検討しているという。
(NST新潟総合テレビ)