ウクライナや中東での軍事衝突、なぜ国連は何もできないの?国連安保理って何?【親子で語る国際問題】

AI要約

国連安保理は現在機能不全に陥っており、世界の平和と安全に貢献する役割を果たせていない状況。

国際情勢におけるウクライナや中東の軍事的衝突が続いており、安保理の機能不全が深刻な課題となっている。

国連安保理は常任理事国の拒否権により、決議案の採択が困難になっている。

ウクライナや中東での軍事衝突、なぜ国連は何もできないの?国連安保理って何?【親子で語る国際問題】

いま知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は、「国連安保理」がどんな組織なのか、現在の常任理事国の関係悪化に伴う、今後発生しうる課題についても学んでいきます。

ウクライナや中東では軍事的衝突が依然として続いています。最近になって米国ではウクライナへの軍事支援を可能とする法案が可決され、戦況で劣勢に立たされていたウクライナのゼレンスキー大統領は米国に感謝の意を示しましたが、ロシアも今後いっそう攻勢を強化していく方針で、戦争の長期化が懸念されます。

中東では長年対立してきたイランとイスラエルが軍事的に衝突するという前代未聞の事態が起きました。双方とも大規模な被害を与えるというより、政治的にけん制するという限定的な攻撃でしたが、今後も予断を許さない状況です。このように世界では紛争が絶えません。

このような中、世界の平和と安全に貢献することを目的とする国連の安全保障理事会はどのような役割を担っているのでしょうか。

先に結論となりますが、今日、国連安保理はウクライナやイスラエルの問題で機能不全に陥っており、何も重要な役割を果たせない状況にあります。では、なぜ何もできないのでしょうか。

それを理解するためには、国連安保理の構造を理解する必要があります。

■国連安保理 常任理事国5カ国は任期なし・拒否権がキーに

国連安保理は常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国の計15カ国で構成されます。常任理事国は米国、英国、フランス、ロシア、中国の5カ国で任期はありません。非常任理事国の任期は2年です。国連安保理で決議案が採択されるためには15カ国中9カ国の賛成が必要で、これは多数決の原則からすれば違和感はないでしょう。

しかし、常任理事国には拒否権という特権が与えられており、決議案に過半数の国が賛成していたとしても常任理事国のうち1カ国でもNoと言えば、その決議案は廃案となってしまうのです。

■米中・米露の対立が大きな障壁に

要は、米中、米露が対立していれば、そもそも安保理は何もできなくなってしまいます。

米国が採択を目指す決議案にはロシアや中国が拒否権でNoと言い、ロシアや中国による決議案には米国がNoを突きつけるといった拒否権の乱用が横行しているのです。