黒部ダム名物「ダムカレー」を食す【話題のカレー探訪】

AI要約

黒部ダムは日本一の堰堤高さを持つダムで、黒部ダムカレーとして知られる名物がある。

黒部ダムカレーはアーチダムの形状を模したカレーで、長野県の特産品を使用した味わいが人気だ。

大町市の18店舗で提供される黒部ダムカレーは、観光客にも地元の人々にも愛されている。

黒部ダム名物「ダムカレー」を食す【話題のカレー探訪】

富山と長野の県境、中部山岳国立公園内にある黒部ダム。堰堤の高さは186mで日本一。観光放水は10月15日まで、観光期間は11月30日まで。

昭和38年(1963)、7年の歳月をかけて完成した黒部ダム。6月26日から観光放水も始まり、その迫力と清涼感は国内外の観光客を魅了する。日本最大級の規模を誇るアーチ式ドーム型ダムがせき止める水量は約2億トン。そのダムの形状を表現しているのが、名物のダムカレーである。

日本各地のダムに因んだダムカレーは平成21年頃から増え始め、今や200に迫るといわれる。そもそもダムカレーはどのように生まれたのか。その鍵を握るのが、黒部ダムの長野県側入口に当たる電気バスの停留所・扇沢駅にある。

「黒部ダム完成後の昭和40年代初頭、扇沢駅の2階にあった扇沢大食堂(現『扇沢レストハウス』)で提供されていたのが『アーチカレー』でした。当時、食堂の料理長がご飯をダムの堰堤の形に造形するため、市内の鉄工所に金型を注文して作ってもらったそうです。遊び心がありますよね」と話すのは、黒部ダムカレー推進協議会会長の柏原清さん。

その金型の形は今もほとんど変わらず、現在も「アーチダムカレー」として不動の名物となっている。長野県産の茸をたっぷり使ったカレーはスパイスを効かせた今風の味わいだ。

◆扇沢レストハウス

長野県大町市平2117

電話:0261・22・3612

営業時間:8時30分~15時

定休日:12月~4月中旬 100席。

交通:JR大糸線信濃大町駅より扇沢線バスで約40分

このダムカレーをご当地カレーとして浸透させたいと現在、大町市の18店舗で提供しているのが「黒部ダムカレー」である。火付け役である柏原さんによると、ご飯をダムの堰堤の形にする、カレーのルーは堰堤の外側に流し込む、観光遊覧船に見立てたトッピングをするなどの5か条を守れば、味や具材は不問という。

黒部ダムを目の前にする『黒部ダムレストハウス』のそれは、エメラルドグリーンの湖水に似せた辛口のグリーンカレーだ。世紀の大工事の偉業を前に、愛され続けるダムカレーの堰堤を崩し、放水を想像しながら味わいたい。

◆黒部ダムレストハウス

富山県中新川郡立山町芦峅寺

電話:080・2105・4886

営業時間:10時~15時(売店は9時~16時)

定休日:12月~4月中旬 80席。

交通:扇沢駅より電気バスで約16分、黒部ダム駅下車後、連絡通路経由で徒歩約5分

撮影/宮地 工

※この記事は『サライ』本誌2024年8月号より転載しました。