【コーヒーが加齢による筋力低下を防ぐ可能性】最新研究が示す、コーヒーの意外な健康効果とは

AI要約

コーヒーの摂取が筋肉量を維持し、加齢による筋力低下を防ぐ可能性があることが研究から示唆された。

カフェイン入りコーヒーを多く飲む人ほど筋肉量が増加し、カフェインが持つ抗炎症作用や抗酸化作用が筋肉の健康に寄与している可能性がある。

適量のコーヒー摂取と運動、健康的な生活習慣の組み合わせが筋肉量の維持に重要である。

【コーヒーが加齢による筋力低下を防ぐ可能性】最新研究が示す、コーヒーの意外な健康効果とは

朝の目覚めに欠かせないコーヒー。香り豊かなこの飲み物が、実は「筋肉を守る働き」があるかもしれないという驚きの研究結果が発表された。

■コーヒーの筋肉への影響とは?

最新の研究で、コーヒーを日常的に飲むことが、筋肉量を維持し、加齢による筋力低下を防ぐ可能性があることが示された。先日、アメリカの成人を対象とした大規模な調査結果が、『Frontiers in Nutrition』という栄養学専門誌に掲載された。この研究は、中国の研究者たちが行い、コーヒーやカフェインの摂取量と骨格筋量との関連を調査したもの。対象となったのは、2011年から2018年の間にアメリカで実施された全国健康栄養調査(NHANES)に基づく8,333人の成人データで、20歳以上の男女が参加している。

研究によると、コーヒーやカフェインの摂取量が多い人ほど、骨格筋量が多いことがわかった。特に、カフェイン入りコーヒーを多く飲む人たちは、筋肉量が約11%~13%増加していることが確認された。この結果は、コーヒーのカフェインが持つ抗炎症作用や抗酸化作用が、筋肉の健康に寄与している可能性を示唆している。

■カフェインには炎症を抑え、古い細胞をリサイクルする働きがある

今回注目されるのは、「サルコペニア(加齢に伴い筋肉の量が減少していく状態)」だ。サルコペニアは、特に高齢者に多く見られ、筋力や筋肉量が低下し、転倒や骨折のリスクが高まることが知られている。実際、50歳以降、筋肉量は年間1~2%ずつ減少し、80歳以上の約40%の人がサルコペニアに悩まされていると言われている。コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールは、炎症を抑え、体内の古い細胞をリサイクルする「オートファジー」を促進する効果があるとされている。また、カフェインは筋肉の異化作用(筋肉を分解する作用)を抑えるとも言われている。これらが、筋肉量の維持に貢献していると考えられる。つまり、毎日コーヒーを飲むことで、加齢に伴う筋肉の衰えを防ぎ、長く健康的な生活を送るためのサポートとなるかもしれない。

■健康的なライフスタイルを基本にコーヒーを取り入れる

調査によると、筋肉量が多かったのは、男性、若年層、教育水準が高い人、非肥満者という特徴があった。また、運動量が多く、適度なアルコールを摂取している人々が多く見られた。さらに、これらの参加者は、ビタミンD3やタンパク質の摂取量が多く、健康的なライフスタイルを送っていることが分かった。一方で、BMI(ボディマス指数)が30以上の肥満者には、コーヒーやカフェインの摂取が筋肉量に影響を与えないという結果も出ている。これは、肥満者における代謝や筋肉の状態が、コーヒーの影響を受けにくい可能性を示唆している。

■1日2~3杯程度の適量を

では、私たちの日常にどうコーヒーを取り入れればよいか?専門家たちは、日々の生活にコーヒーを組み込むことを推奨している。ただし、カフェインの過剰摂取は、不眠や心臓に負担をかける恐れがあるため、1日2~3杯程度の適量を守ることが重要だ。また、コーヒーだけで筋肉を守るわけではないことも忘れてはいけない。筋肉を維持するためには、適度な運動、特に筋力トレーニングやストレッチが欠かせない。コーヒーはその補助的な役割として、日常の生活に取り入れていくと良いだろう。

出典:

Coffee May Help Protect Your Muscles As You Age, Study Suggests

Coffee may benefit patients with low muscle mass, says U.S. study

文/山口華恵