「オイルサーディン」にはオメガ3脂肪酸が豊富 朝食べると元気に活動できる【時間栄養学的「気になる食品」】

AI要約

オイルサーディンは、18世紀のヨーロッパで誕生し、缶詰技術の発展と共に普及した保存食品。

オメガ3脂肪酸が豊富で、心血管系の健康を促進し、血中コレステロール値を改善する効果がある。

研究ではイワシの摂取が血圧、血糖値、中性脂肪を低下させ、健康に良い影響をもたらした。

「オイルサーディン」にはオメガ3脂肪酸が豊富 朝食べると元気に活動できる【時間栄養学的「気になる食品」】

【時間栄養学的「気になる食品」】

  オイルサーディン

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 オイルサーディンは、小型のイワシをオリーブオイルなどの油に漬け込んで保存した食品で、世界中で広く親しまれています。その歴史は、18世紀のヨーロッパにさかのぼります。「サーディン」という名前は地中海のサルデーニャ島に由来しており、この地域で多くのイワシが取れたことから名付けられました。

 オイルサーディンの缶詰が最初に作られたのは、19世紀初頭のフランスです。ナポレオン戦争の時代、軍の食糧として長期保存が可能な食品が求められており、その解決策として缶詰が発明されました。この技術は急速に広まり、オイルサーディンは長期保存が可能で栄養価が高いため、瞬く間に一般家庭にも浸透していったのです。戦時中の兵士の携帯食や遠洋漁業の船員の食糧としても重宝されていた記録があります。

 日本で本格的に普及したのは20世紀に入ってから。日本近海でもイワシの漁獲が盛んだったことから国内生産も増え、1923年の関東大震災の折、救援物資に缶詰が用いられたことを機に庶民に普及。一般的な保存食のひとつとして定着したそうです。

 そんなオイルサーディンには心血管系の健康を促進、血中コレステロール値を改善する効果のあるオメガ3脂肪酸(DHA、EPA)が豊富に含まれています。オメガ3脂肪酸の1日の目標摂取量は成人女性1.62~1.99グラム、成人男性が1.92~2.23グラムです。メーカーによっても違いますが、オイルサーディンの缶詰1缶には約1.5グラムのオメガ3脂肪酸が含まれているため、1日の目標量に近い値を1缶で取ることができます。

 2021年にスペインで報告された研究に、65歳以上の糖尿病予備群が食事指導を受けつつイワシの缶詰を週に200グラム、1年間摂取したものがあります。結果は、イワシを摂取した群は特に血圧、HbA1c、血糖値、中性脂肪が低下し、善玉コレステロールが増加、インスリン抵抗性も改善したそうです。血中にはオメガ3脂肪酸が含まれていたことからも、継続して摂取することの大切さがうかがえますね。

 DHAとEPAは朝に食べることで体内時計をリセットして、朝から元気に活動できる体がつくられます。現場で栄養指導していても顕著だと感じています。朝のサラダやパンなどにのせて召し上がってみてはいかがでしょうか。

(古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)