「ジャスミン茶」で気を巡らせて緊張をゆるめ便秘を改善【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
高齢者の便秘について、ストレスや年齢による要因を紹介。
便秘改善のためにジャスミン茶の効果やレシピを紹介。
ジャスミン茶と組み合わせると効果的な食材について。
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】ジャスミン茶
最近、トイレに行ってもいまいちスッキリしない……。このところ、ストレスが多かったせい? 生活の質を大きく下げる原因になりやすいのが「便秘」です。
便秘が引き起こされる理由はさまざまですが、そもそもシニアは排便しづらくなる原因が多い傾向があります。食事の摂取量が減ることにより大便も少なくなって便意をもよおしづらくなる、加齢による腸の働きの低下、体内の水分量が減って便が固くなりやすい……などが挙げられます。さらに、直腸の知覚機能の老化により便意を感じにくい、運動不足、薬の副作用などのほか、ストレスも大きな要因です。
ストレスが続くことで起きる便秘は「けいれん性便秘」と呼ばれます。ストレスによって自律神経が乱れ、下行結腸の緊張が強くなり、腸管がけいれんして狭くなることで便の通過が滞ってしまうのです。けいれん性便秘の場合、ウサギのようなコロコロした便になりやすい特徴もあります。
60歳を超えるあたりから男性も便秘になりやすく、その要因のひとつとして、定年後は家にいる機会が増えたり、生活リズムが変化することによるストレスが挙げられます。また身体の機能の低下は、生活においてなにかとストレスになりやすいものです。さらに「なかな便が出ない状態」が続くと、それがまたストレスになって便秘が悪化する悪循環に陥ってしまいます。たかが便秘と考えずに、早めに改善を図ることが大切です。
中医学においてストレス性の便秘は、人間のエネルギーである「気」がの巡りが悪くなることが原因と考えます。気の巡りは、西洋医学でいう自律神経に重なり、そのコントロールがうまくいかなくなると精神不安定になってイライラしたり、怒りっぽくなったりします。排便に必要なエネルギーでもある気が滞ると、当然、便も出しづらくなってしまうのです。
便意があるけれどなかなか出ない、お腹が張る、ガスがたまりやすくてゲップが多いといった特徴があります。
改善のためには、気を巡らせる働きのある食材を取り入れることが大切です。
おすすめはジャスミン茶。原料であるジャスミンには、その香りが滞った気をスムーズに巡らせ、緊張をゆるめてリラックスさせてくれる効能があります。ストレスを緩和して、便秘の改善に役立つのです。また、ストレス性の胃痛、食欲不振や腹部膨満感、吐き気、消化不良などのトラブルにもおすすめで、不眠や眠りが浅く夢を多く見て寝た気がしないといったときにもよいお茶です。
ジャスミン茶のストレス性便秘改善効果を高めるには、同じく気の巡りをよくするかんきつ類やハーブ類と組み合わせるのが良いでしょう。また、腸を潤わせて便通をよくする効能があるハチミツもプラスすると、より効果が高まります。
■ジャスミン茶高齢薬膳レシピ
オレンジとミント入りジャスミン茶
気の滞りを改善する働きのあるジャスミン茶と、同様の効能があるオレンジとミントを組み合わせ、便秘全般に威力を発揮するハチミツで甘みをつけたレシピ。スプーンでオレンジの果肉とミントの葉を潰しながらいただくと、さわやかな香りと風味が楽しめます。
【材料】2人分
●ジャスミン茶 2カップ
●オレンジ 1/2個
●ミント・ハチミツ 適量
【作り方】
カップにジャスミン茶、皮をむき房から出して食べやすくカットしたオレンジ、ミントの葉を入れ、ハチミツで好みの甘さに仕上げる。
(池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)