賢い社長の節税術…売上が増えても「利益は年800万円以下」に抑える納得の理由【税理士・公認会計士が解説】

AI要約

資本金が1億円以下の企業であれば、利益を800万円以下に抑えることで税制面のメリットがある。

法人の利益が800万円を超えると税率が10%以上上昇し、節税のために利益を抑える必要がある。

利益を抑える際には、売上を維持しつつ経費を増やすなど、効果的な方法を取る必要がある。

賢い社長の節税術…売上が増えても「利益は年800万円以下」に抑える納得の理由【税理士・公認会計士が解説】

税理士法人グランサーズの共同代表で税理士・公認会計士の黒瀧泰介氏によると、資本金が1億円以下の企業であれば、利益を800万円以下にすることで税制面のメリットがあるといいます。売上を維持しながら利益を抑えるうえで有効な方法をみていきましょう。

――「法人の利益は800万円に抑えたほうがよい」という話を聞いたのですが、これって本当なんですか?

黒瀧氏(以下、黒)「そうですね。資本金が1億円以下の企業であれば、利益を800万円以下にすることで、税金を抑えることができますよ」

――どのようにして利益を抑えればよいのでしょうか?

黒「今回は、法人の利益は800万円以下に抑えたほうがよい理由と、利益を抑えるうえで有効な方法について紹介します」

利益が800万円を超えると、税率は10%以上上昇

――早速ですが、法人の利益を800万円に抑えたほうがよい理由って何でしょうか?

黒「これには、『法人税率』が関係しています」

――税率ですか。

黒「はい。一般的な株式会社や合同会社は、資本金が1億円以下の場合、800万円を境に法人税率が大きく変化するんです。資本金が1億円以下の会社の場合、利益のうち800万円までは実効税率が約23%ですが、800万円を超える部分については実効税率が約34%になります」

――利益が800万円を超えると税率が10%以上上がるんですね。

黒「そうです。ただ補足ですが、800万円を超えたらすべての利益に約34%の税率がかかるということではありません。

たとえば利益が1,000万円だった場合、約34%の税率が適用されるのは800万円を超えた200万円の部分だけで、残りの800万円については約23%の税率で計算されます」

――所得税の累進課税と同じということですね。

黒「そういうことです。800万円を超えた利益が多くなれば多くなるほど、約34%の税率で計算される部分が増えるので、利益を800万円に抑えたほうがよいといわれています」

――でも、税金を抑えるために利益を抑えるのは気が進みませんね。せっかく会社をやっているのでどんどん稼いでいきたいのですが。

黒「利益を抑えるというのは、何も売上を抑えろと言っているわけではありません。売上が増えても、その分経費を増やせば利益を抑えられます。ただし、飲み会などで無意味に経費を増やすのは本末転倒です。経費を増やしつつ、節税や事業の発展に繋げられるような方法を実施することが重要です」