【知っておきたい年収の壁と扶養控除】「103万円の壁」を超えても150万円までは配偶者特別控除の対象に 子どもが16歳になったら扶養控除の申請を忘れずに

AI要約

家族を扶養している時の控除のルールを正しく理解することが重要。

配偶者控除や配偶者特別控除は節税のための有効な手段。

所得金額や控除の条件を理解して、しっかりと利用することが大切。

【知っておきたい年収の壁と扶養控除】「103万円の壁」を超えても150万円までは配偶者特別控除の対象に 子どもが16歳になったら扶養控除の申請を忘れずに

 家族を扶養している時の控除のルールを正しく理解しているだろうか。たとえば配偶者控除と配偶者特別控除。名前は聞いたことがあっても、実際に制度の概要を正確に説明できる人は意外と少ないのではないだろうか。ただ、知っておかないと思わぬ損失を招くケースも。誰も教えてくれない「じつはそこにあるお金の話」。著者『僕らを守るお金の教室』が話題の元国税専門官・小林義崇氏が解説する。

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〈わかりやすくするために、ここでは「サラリーマンの夫」と「専業主婦の妻」という設定で説明します。妻が夫を扶養している場合は、説明の主語を替えてお読みください〉

 共働き夫婦の場合、妊娠出産にともない世帯収入が減ることがあると思います。

 そんなとき、収入の減ったパートナーを扶養に入れて「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を利用することで節税が可能です。

 育休中に支給される育児休業手当金は、税金の計算には一切影響しません。そのため、たとえば妻が2024年3月に育休に入り、その年の収入が「2か月分の給料60万円」+「育休手当金を200万円」だったとすると、妻の2024年分の収入としてカウントされるのは給料の60万円のみ。扶養に入れられるようになります。

 そもそも「控除」とは、税金の対象となる所得から差し引けるもの。控除が多ければ多いほど、税金の負担は少なくなります。

 配偶者控除と配偶者特別控除のルールは、「扶養している本人」と、「扶養されている配偶者」のそれぞれに合計所得金額の条件があります。合計所得金額とは、給与や副業の収入、不動産賃貸収入など、その人が1年で得た所得を合計した金額です。

 配偶者控除は、夫の合計所得金額が1千万円以下、妻の合計所得金額が48万円以下の場合に使えます。夫の合計所得金額が900万円を超えると、段階的に配偶者控除の額が減り、1千万円超でゼロになります。

「103万円の壁」という言葉を、聞いたことがないですか? この言葉には複数の意味合いが含まれますが、配偶者控除に関連してよく使われます。

 給与収入103万円の場合、自動的に給与所得控除55万円を差し引けるので、税金を計算する際の所得は48万円になります。そのため、妻が年収103万円以上に収入を増やすと所得が48万円を超え、配偶者控除を使えなくなってしまうのです。

 ただ、「税金が増えるから、絶対に収入を103万円以下に抑えないと」と考えすぎる必要はありません。なぜなら、配偶者控除が使えなくなっても、代わりに「配偶者特別控除」が適用され、すぐに税負担が増えることはないからです。