痛みで性交渉がつらい……。なかなか人には言えない悩み、どうすれば?【高尾美穂医師に聞く】

AI要約

性交痛(挿入の痛み)について悩む女性が多いこと。

緊張や精神的な要因が性交痛の原因となること。

過去のトラウマや不快な経験が性交痛に影響を与える可能性。

痛みで性交渉がつらい……。なかなか人には言えない悩み、どうすれば?【高尾美穂医師に聞く】

女性の人生は、体調のリズムやその変化と密接な関係があります。生理、PMS、妊娠、出産、不妊治療、更年期……。そうした女性の心と体に長年寄り添ってきた産婦人科医・高尾美穂さんによる連載コラム。お悩み相談から生き方のヒントまで、明快かつ温かな言葉で語りかけます。今回伺うのは、患者さんから相談されることも多いという「性交痛」のお悩みについて。パートナーを含め、人にはなかなか相談できず、一人で抱え込んでいる方もいるようです。

Q. 「挿入するときに痛みがあって性交渉がつらいです。婦人科検診も苦痛です。パートナーが変わっても同じ状況で悩んでいますが、人には言いづらいです」(30代女性)

高尾美穂医師(以下、高尾): 挿入時の痛みに悩む人は、年齢に関わらずたくさんいらっしゃいます。婦人科の内診でも、痛みで叫ばずにはいられないような人もいますし、そういう姿を見ると、性交時も苦労されているのかなと心配に思うのも確かです。

――性交痛(挿入の痛み)について、どんな原因が考えられるでしょうか? また、対処法はありますか? 

高尾:  このご相談者の場合、まず考えられるのは、緊張感が強いのかもしれないということ。それにより、骨盤底筋が収縮するような姿勢になり、自分で腟を締めてしまうことで、よりつらい痛みにつながります。また、緊張が強い状態だと腟が濡れにくく、摩擦による痛みも起こりやすくなります。

この方には、まず性交渉を持ちたいのかどうかを聞いてみたいですね。もししたくないなら、しないという選択肢もあるわけです。ただ、お相手のことが好きで、性交渉をしたいという気持ちはあっても、緊張感が強くて痛みにつながっている場合もあります。

――痛みには、精神的な部分も大きく関係しているのですね。

高尾: 必要以上に緊張してしまうというのは、「怖い」という思いが先に立っているのではないかと思います。思い出すのはつらいかもしれませんが、自分の人生を遡ってみたとき、例えば最初の性交渉がつらかったとか、痴漢にあった経験があるとか、何かしらトラウマとなりうる出来事があったりしませんか? それを振り返ってみることは必要かもしれません。