12歳の少女が見た昭和61年「いとこのお姉さんはキャリアウーマンになったけど…」 プレイバック「昭和100年」

AI要約

女性の社会進出や働き方改革、いじめや自殺など、時代の様々な問題や出来事が12歳の少女の目線で振り返られる。

男女雇用機会均等法の影響、土井たか子さんの社会党委員長就任、原子力発電所事故の恐怖など、当時の社会情勢が取り上げられる。

マラドーナの「神の手ゴール」や岡田有希子さんの自殺とメディアの扱い、学校でのいじめの実態など、子供たちにとってのエンターテイメントや心の傷が描かれる。

12歳の少女が見た昭和61年「いとこのお姉さんはキャリアウーマンになったけど…」 プレイバック「昭和100年」

<当時の出来事や世相を「12歳の子供」の目線で振り返ります。ぜひ、ご家族、ご友人、幼なじみの方と共有してください。>

いとこのお姉さんはこの春、四年制大学を卒業して、私でも知っているような有名企業に入った。4月に男女雇用機会均等法という新しい法律が始まって、去年ぐらいから女子学生も就職活動がしやすくなったと言っていた。ただ、実際に働いてみると、男の人ばかりの職場は大変らしく、仕事が回ってこなかったり、「女にはわからん」とか言われてしまうらしい。

それでもお姉さんは「これからは女性も男性と同じように働くのよ」が口癖で、夜中まで残業することもあるんだって。「キャリアウーマンだね」と言うと、恥ずかしそうに笑っていた。

国会でも9月に社会党の土井たか子さんが日本の政党で初めての女性党首として社会党の委員長になったし、女性の社会への進出がどんどん進むのかもしれない。

海外では1月、米国でスペースシャトルが打ち上げ直後に爆発したり、ソ連では4月にチェルノブイリ原発で大事故があったりした。特に原発事故は「日本にも放射能が来る」という噂が流れて学校でも怖くて話題になったが、男の子が「最近何となく調子が悪いのはそのせい」とか言っていたのはウソか考えすぎだったと思う。

その証拠に6月になると、男の子たちはサッカーのマラドーナという選手が手でボールを入れたマネをして、ふざけていた。「神の手ゴール」というらしい。私はよく知らないが、サッカーにはワールドカップという世界大会があってテレビでも夜中に放送しているようだ。日本は関係ないので私はまったく興味ないが。

私たちの学校でもちょっとしたいじめはある。ただ、ニュースで繰り返しやっていた東京都中野区の中学生の自殺は、いじめなんていうものではなかった。先生まで一緒になって生徒の机の上に寄せ書きを置いて「葬式ごっこ」とかしたらしい。「このままじゃ生きジゴクになっちゃうよ」。そんな遺書を残して亡くなったと聞いて、私まで気持ちが落ち込んだ。

この年は、アイドル歌手の岡田有希子さんもビルの屋上から飛び降りて亡くなった。学校に友達が持ってきた写真週刊誌にはその時の写真が載っていて、ちょっとやり過ぎだと思った。