井上尚弥に大谷翔平“効果”か? 25年ラスベガス興行が浮上する理由、いまや「世界のボクシング界の“顔”に」

AI要約

井上尚弥選手が元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー選手との防衛戦で圧倒的な強さを見せ、TKO勝利を収めた。

井上選手は前回の反省から慎重な滑り出しを見せ、自身が持つ記録を更新しつつ、米ラスベガスでの試合開催も視野に入れている。

試合中に井上選手が主導権を握り、ダメージを与えたが、急に試合が終了した理由も相手陣営から明かされた。

 ボクシング4団体スーパーバンタム級王者井上尚弥選手(大橋)が3日、東京・有明アリーナで行われた元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー選手(アイルランド)との防衛戦を行い、7回16秒でTKO勝ちを収めた。モンスターの異名を取る31歳が圧倒的な強さを改めて見せつけた。世界戦の通算勝利数を日本選手最多の23に伸ばし、自身が持つ日本人最多の世界戦連続KO記録も9へ更新。記録ずくめの一戦を終えた先に、来年には約4年ぶりとなる本場・米ラスベガスでの試合開催というビッグプランも浮上する。

 この日の井上選手は1回、大金星を狙った37歳のドヘニー選手に対し、ほとんど手数を出さない慎重な滑り出しを見せた。前回5月の防衛戦では、元世界王者のルイス・ネリ選手(メキシコ)に予期せぬプロ初ダウンを1回に食らっていた。

 今回のドヘニー選手も全26勝のうち、KO勝利が20戦というパワーが持ち味だ。前回の反省も生かし、「今回はそういう(慎重な)入りをしようと思った」と意図的に静かな立ち上がりをつくった。

 3、4回の攻防ではドヘニー選手を優勢と採点したジャッジもいたが、「どう突破口を開いていこうかを考えながら戦っていた。自分としては最善を尽した」と冷静だった。回を重ねるごとに主導権を握り、有効打も重ねていく。

 迎えた7回は開始から攻勢を強めたところ、リングサイドへ追いやられたドヘニー選手はなおもパンチをもらうと、顔をゆがめ、腰を押さえて戦意喪失。レフェリーが、試合続行を不可能と判断して試合を止めた。

 相手を倒して防衛という光景を見慣れたファンやメディアが求める理想からは物足りなさが残ったかもしれないが、井上選手が与えたダメージは相当だったようだ。相手陣営は試合後の会見で6回にもらったパンチで腰の神経をすでに痛めていたと説明していた。

 井上選手は「やりたかったのは、丁寧にボクシングを組み立てること。たら、れば、になるけど、後半にかけてしっかり魅せ場をつくろうと思っていた。皆さんが思う結果とは違ったかもしれないが、自分の中では気にはしていない」と淡々と語った。