スキャンダルの炎上で「山に逃げたんじゃない」…俳優東出昌大「最期は山の上に放置してもらい動物に食べてほしい」

AI要約

東出氏は街中で息苦しさを感じ、山に逃げることで呼吸が深くできることを発見した。

スキャンダルによってネットの虚構や欺瞞に嫌気がさし、本を読むことで社会を知りたいと思うようになった。

服部氏は自給自足としての土着の生活を目指し、サバイバル登山と日常生活を区別している。

■仕事が“順調そう”でも心が死んでいたワケ

 【東出】スキャンダル(2020年)で山に逃げてきたのではなくて、以前から東京での生活に息苦しさを感じていました。街を少し歩いても「監視カメラ作動中」「ボール遊び禁止」などと、口うるさい文字の看板にあふれています。仕事は“順調そう”と周りから思われても、自身の中で課題は尽きないし、承認欲求にも際限はありません。よく眠れなくて、起きてもやる気が出なかった。山に来て自然の中にいると、深く呼吸ができます。それで以前から時々、山には来ていたんです。

 【服部】スマホをガラケーに変えたじゃん。あれもスキャンダルの前だよな。

 【東出】ある女優さんのスキャンダルがきっかけでした。共通の友人を交えて一度だけその方とご飯を食べたことがあって、連絡先も交換しなかったけれど、とても気持ちのいい人でした。でも、スキャンダル一発で悪女扱い。ひどい書かれようでした。スマホを持っていると嫌でもそのニュースが出てくるし、目にすると読んでしまう。書かれている彼女と、実際に会って話した彼女の印象はあまりにも違いました。

 【服部】俺は物書きでもあるけど、文章なんて読み手が読みたいように読み取ってしまう。俺が書いたのと真逆の解釈をされることもある。そんなもんだから、芸能記事にどんなことが書かれていても、気にすることはないんだ。でも、そのときのでっくん(東出氏)は、それで世間を知るのが嫌になってしまったってことかな?

 【東出】いいえ。社会を知りたい、人間の世界を知りたいという思いはありました。ただ、ネットに頼ると虚構や欺瞞に惑わされてしまう。だから、本を読もうと思ったんです。それで服部さんの本を読みました。山奥やジャングルに分け入って、植物を食べ獲物を捕って何日も生き延びる。生き物として日本でいちばん強いのはこの人だと憧れを抱きました。以来、勝手に師匠と呼ばせてもらっています。

 【服部】ちょっと田舎に行けば、強いおっさんなんていくらでもいる。昔はさらにたくさんいた。たとえば、草木一本生えない極寒の氷原でホッキョクグマを食いながら越冬したフリチョフ・ナンセン(1861~1930)とか。

 【東出】服部さんは登山をしながら、普段は横浜にあるご自宅と山の古民家を行ったり来たりして暮らしていますよね。服部さんが理想としている山の暮らしって、どんなスタイルですか?

 【服部】俺は狩猟や釣りで食糧を現地調達しながら身一つで登山する(サバイバル登山)ってのをやってきたけど、それは自給自足とは言えないな。よそからやってきて、食えるもんを見つけて命をつなぐのは、泥棒みたいなもんだろう。土地に住んでそこの環境の一部に組み込まれて生きるのが、本当の自給自足。これからもサバイバル登山はやるんだけど、暮らしとして目指しているのは“土着の生活”だ――あれ、納豆6パックも開けてどうするの?

 【東出】猪肉のパスタに入れるんすよ。

 【服部】まじかよ、金持ちだな。