周囲から認められても「どうせ私なんて」という人は要注意…産業医「謙遜グセを放置すると生じる深刻な症状」

AI要約

謙遜さんとは、自分を低く見積もってしまい他人を優先してしまう人のこと。インポスター症候群という症状が関連しており、自己評価が低くなりうつ病や適応障害の原因にもなる可能性がある。

謙遜が行きすぎるとストレスを感じることもあるが、謙遜さんは客観的で判断力や思いやりがあり、周囲からは素敵な人と思われている。しかし、謙遜が行きすぎると息苦しくなったり疲れてしまうことも。

謙遜さんから卒業するタイミングは、自己成長のための向上心を持ちながらも、自分を認められない姿勢を変えることが重要。自己肯定感を高めて能力を活かすことで、仕事や人間関係で活躍することができる。

仕事も友人関係もダメダメだ……と落ち込んだどきはどう立ち直ればいいか。医師の田中遥氏は「本当はよく頑張っているのに『私なんて』と思ってしまう人はインポスター症候群かもしれない。放置するとうつ病や適応障害の原因になりかねない」という――。

 ※本稿は、田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■一日に一度も自分をほめられないのはなぜ?

 あなたは今日、自分を何回ほめましたか?

 「あれ、1回もほめてないな」と思ったでしょうか。

 それとも「自分をほめるなんて、とんでもない」と感じたでしょうか。

 ああ、もっと自分を認めてあげられたらなあ……。

 もしそう思ったなら、あなたは「謙遜さん」かもしれません。

■謙遜が行きすぎるとストレスになる

 謙遜さんとは、自分を低く見積もって、必要以上にへりくだってしまう人。

 いつも他人を優先して、自分はあと回しにしてしまう人。

 自分の嫌なところやダメなところならいくらでも挙げられるのに、いい面や好きな部分はほとんど思い浮かばない。そんな人を指します。

 謙遜さんのもとになっているのは、「インポスター症候群(Impostor Syndrome)」という海外で話題になっている症状です。

 インポスターとは英語で、「詐欺師」や「ペテン師」のこと。

 優秀で社会的にも成功しているのに自信がもてない。実力や実績は周囲から認められているにもかかわらず、自分の能力のなさがいつかバレるのではないかと常に恐れている。そんな一連の症状を指し、「周りの人をだます」という意味で使われている言葉です。

 この「インポスター症候群」をベースにその気質がある方も含めて、本稿では謙遜さんとお呼びしています。

 「えぇ⁉ 謙遜さんってパッとしないイメージだなあ」「損な役回りじゃない⁉」と思ったでしょうか。

 でも、謙遜さんはとても客観的で、判断力や思いやりがある人。

 いつも周囲を気遣っているので、みんなから「あの人がいてくれるとありがたいな」「謙虚で素敵な人だな」と思われています。

 とはいえ謙遜が行きすぎると、本心を抑えて毎日が息苦しくなったり、自分のあら探しばかりして疲れてしまうことも……。

 自分を認められず、ストレスを感じるのはつらいですよね。

■謙遜さんから卒業すべきタイミングは

 もし今あなたが、そんなふうに感じているとしたら、それは「謙遜さんから卒業するときですよ」と教えるサイン。その方法をお伝えして、謙遜さんが自分のもち味を活かしながら、力を発揮できるようお手伝いするのが、この本です。

 謙遜さんは人を優先するとお話ししましたが、決して控えめなだけではありません。

 自分なりの目標があり、「よりよい自分になりたい」という向上心をもっています。その分、自分を成長させたいと願い、「がんばらなければ」と思う気持ちも強い。それが「今の自分」を否定する姿勢や、謙遜的な態度につながっているだけなのです。

 だから、自分のいいところに気づいて、自分自身をそのまま認められるようになれば、世界はガラッと変わります。すでにもっている能力を発揮していきいきと仕事をしたり、いい人間関係を築いたりできるようになります。

 心優しい謙遜さんは人と調和しながら、個性を活かして活躍できるでしょう。