電気料金の請求書に書かれている「燃料費調整額」って何ですか? 電気代と同じで今後も高騰するのでしょうか?
燃料費調整額は、電気料金における特定の要素であり、計算方法が複雑である。
火力発電に使われる燃料の価格変動に基づいて電気料金が調整される。
燃料費調整額は将来的に上昇する可能性があり、経済動向や世界情勢を注視する必要がある。
電気料金の請求書は専門用語も多く、電気料金がどのように決められているのか分かりにくいと感じる方もいるでしょう。なかでも「燃料費調整額」は、特にイメージがつきにくいかもしれません。
今回は、燃料費調整額について詳しく解説します。
2022年度の時点で、国内での発電方法で最も多いのは火力発電だといわれています。火力発電に使う燃料は、市場や為替の変動で価格が変わります。その変動を電気料金に迅速に反映させるために「燃料費調整制度」が用いられています。
東京電力エナジーパートナー株式会社の「燃料費調整制度・市場価格調整制度とは」によると、燃料費調整額の計算方法は以下の通りです。
●火力燃料(原油・液化天然ガス・石炭)のそれぞれの3ヶ月間の貿易統計価格に基づき、毎月平均燃料価格を算定
●毎月の平均燃料価格と、2023年4月~6月の貿易燃料価格に基づき設定された基準燃料価格とを比較し、燃料単価を調整する
以上より、毎月の平均燃料価格が基準燃料価格よりも高ければプラス調整、低い場合にはマイナス調整を行うため、それにともない燃料費も変動します。
燃料費調整額を求める計算式は、燃料費調整単価×電力使用量です。毎月の平均燃料価格が基準燃料価格よりも高い場合(プラス調整)と低い場合(マイナス調整)で、計算式が異なります。
●プラス調整の場合:(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1000
●マイナス調整の場合:(基準燃料価格-平均燃料価格)×基準単価÷1000
基準単価とは、平均燃料価格が1000円/キロリットル変動した場合の燃料調整単価のことです。従量制で契約している場合には、契約している電力会社により料金が異なります。
東京電力エナジーパートナー株式会社における2024年9月の燃料調整単価も既に公表されており、関東地方ではマイナス調整となっています。
現在日本は発電燃料の大半を輸入で賄っているため、燃料費調整額は今後も上がっていく可能性があります。燃料の高騰の原因には以下のようなものが挙げられます。
●新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの蔓延により、一時経済活動が停滞。しかし近年、新型コロナウイルスが落ち着いたことで、経済活動が回復しエネルギーの需要が拡大しているため。
●脱炭素社会を目指す動きが高まっている影響
ほかの資源よりも二酸化炭素の排出が少ない液化天然ガスの需要が高まっているため。
●世界情勢の影響
ロシア軍のウクライナ侵攻により、各国が経済制裁を行ったため。経済制裁への対抗で輸出量が減ることが懸念されている。
●円安による影響
円安により、燃料の輸入価格が上がっているため。
今後も、経済の動向や世界情勢を注視しましょう。またほかにも、燃料価格は天候不順や災害などによっても価格が変動するとされています。燃料調整額の上昇に備え、家庭での電力の使い方を見直したり、必要に応じて電力会社の変更を検討したりすることも必要でしょう。